底園
〜flowers of romance〜
底園(ていえん)
〜flowers of romance〜

作/渡辺キョウスケ


登場人物(4人、男3・女1)

・クラモリ(男)
・アキツ(男)
・ノウミ(女)
・ウベ(男)


舞台

島の中腹に建てられたプレハブ小屋。
長机、椅子、書類のファイルが並べてある棚、等が置かれている。

上手、外に出るドアが1つ。

下手、ビニール貼りの温室が併設されている。
温室内部では何かの植物が栽培されていて、青々と茂った葉がビニールから透けて小屋側からも見える。

温室から小屋の中に日光が差し込み、照明が点いていなくても小屋の中は明るい。

音楽。
徐々に暗転し、開演。


1.

舞台、明るくなる。

スーツ姿のクラモリとウベ、椅子に座っている。
クラモリ、眠そうに机に突っ伏している。
誰も座っていないもう1脚の椅子にはスーツの上着がかけてある。
その上着の持ち主であるアキツは、温室内にいる。

ウベ「(温室内に向かって)どうですかー、中は?」
アキツの声「いやー、暑いっすねー」
ウベ「ですよねー。暑いんですよ、その中」
アキツの声「ええー、汗出てきますね、かなり」
ウベ「出てくるんですよ、汗。その中いると」
クラモリ「・・・当たり前でしょ」
ウベ「え?」
クラモリ「暑くて汗かかない人間なんかいませんよ」
ウベ「ああ・・・そうですね。そりゃそうだ(笑)」
クラモリ「・・・」

アキツ、温室の中から出てくる。手には携帯電話。

アキツ「え?何話してたんですか?」
ウベ「いや、クラモリさんがね、暑くて汗かくのは当たり前だろって」
クラモリ「いいですよ、わざわざ伝えなくても」
ウベ「ああ、ハイ」
アキツ「(座って、上着を着ながら)何か、この中いたら、イチゴ狩りに行った時のこと思い出しましたよ」
ウベ「イチゴ狩り?」
アキツ「ほら、イチゴってこういう温室とかビニールハウスで栽培されてるじゃないですか」
ウベ「ええ・・・え、アキツさん、イチゴ狩りとか行かれるんですか?」
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