欧米忍者
 3 欧米忍者

 交番に警察官がいます。
 そこに怪しげなアメリカ人がやってきました。なぜ怪しげなのかと言うと、忍者の格好
をしているからです。

 米 「あのすみません。道を尋ねてもいいでしょうか」
 警察「…。確保」
 米 「ええ!何がですか」
 警察「怪しすぎるだろう、あんた。時代錯誤も甚だしい限りでございますよ。『怪しすぎ
て逆に』っていうサスペンスの定理を覆す勢いで怪しすぎるよあんた」
 米 「いやいや、外国人が慣れない土地で道聞くのは仕方ないじゃないですか」
 警察「そんな格好しながら意外とまともなこと言うじゃねえか」
 米 「それはそれとして、仕方ないのです」
警察「ちょっと、話聞いてやるよ」
 米 「偉そうな国家権力だなぁ」
 警察「どこ?アナタハドコーニイキタイノデースカ」
 米 「急に外国人扱いしだしたな。でも英語でないところがとても悲しい。江戸に行きたいのです」

 警察官は無言でアメリカ人の方に歩いていきます。何をするかと思いきや、急にアメリ
カ人の手を捕え、エディ・マーフィみたいな顔でこう言うのです。

 警察「自由の国から来たって、犯罪は許されないんだぜ」
 米 「してないですってば!」
 警察「未だに侍がいると思っている外国人、ってのは古いんだよ」
 
 そうして警察官はイスに座り、何やら書類をあさり始めました。

 米 「な、何をしているのですか」
 警察「とりあえず話聞くから、座って」
 米 「あの、本当に道に迷っているだけで。というよりも、本当は東京駅に行きたかっただけで、洒落で江戸って…」
 警察「外国人だからといって、ギャグキャラとも限らない。あなたはツッコミ役です」
 米 「急に何を言い出すんですか」
 警察「座って」

 アメリカ人はしぶしぶといった具合に座ることにしました。目の前の人を警察官にした
時点で日本は間違ったのだ、と悟ったからです。

 警察「まあ、仕方ないんだけどさ、通過儀礼的に聞かなきゃいけないことがあってね」
 米 「いや、道聞いてくる人にはその質問しないでしょ」
 警察「…はあ、この質問はしなきゃいけないんだよな」
 米 「え、そんな強烈な質問があるのですか。それはさすがにちょっと嫌だなぁ」
 警察「麻薬密売ルートを教えてください」
 米 「直接的過ぎるでしょう、それ。外国に偏見持ちすぎでしょ。あなたの方こそ海外知らないじゃないですか」
 警察「いや、ここで知れたら手柄じゃん?」
 米 「もう駄目だな、あんた」
 警察「第一、そんな怪しい格好しているのが悪いよ」
 米 「…。この格好の奴が麻薬の密売すると思います!?」
 警察「アヘン戦争のときとか一人はそういう売人いたんじゃないかな」
 米 「あんたのほうが時代錯誤だよ」
 警察「そうだよね。密売ルートはもう少し仲良くなってからだよね」
 米 「いや、どんなにあなたのことを信頼しようが、僕はそんなルート知りませんからね」
 警察「まず、お名前を聞かせてもらおうかな」
 米 「ふう。マクドナルドです」
 警察「ああ、ジャンクフードの好きなね」
 米 「それはアメリカに対する偏見でしょうか。それとも、名前に対するジョークでしょうか」
 警察「出身は?」
 米 「アメリカのオレゴン州です」

 警察は名前を聞いた時点から何かの資料を見ています。その資料とアメリカ人を見比べ
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