遣隋使に俺はなる!
〜小野妹子に会いたくて〜
遣隋使に俺はなる! 〜小野妹子に会いたくて〜

  ※遣隋使や小野妹子を全く調べずに書きました。悪しからず。

  過去でも現在でもないどこかの話。
  この世界では、「遣隋使」という仕事があるらしいのだが・・・


  スーツ姿の男が二人いる。

  男2は元気がない。そこに男1が声をかける。

男1「どうしたんだよ、そんな暗い顔して」
男2「いやー、ちょっと出張入っちゃってさあ」
男1「出張? いいじゃん。上が金出してくれて、旅行できると思えばさ
男2「お前はポジティブでいいな」
男1「え、で、どこに出張するんだよ?」
男2「今回のはちょーっと遠いんだよねえ・・・」
男1「え、どこどこ?」
男2「えーっ」
男1「もったいぶるなよ。教えろよ」
男2「・・・隋(ずい)」
男1「隋っ!?」
男2「そう、隋」
男1「え、隋って、中国じゃん。海外出張!? マジかー」
男2「マジなんだよー」
男1「でもいいじゃん海外。日本なんかよりずっと文化も文明も進んでるんだろ。
   俺も行ってみたいわー」
男2「お前ってほんとポジティブだよな」
男1「え、よくない? 海外出張。日本では食えないような料理も食えるんだろ?
   うわーうらやましい」
男2「俺はどうしてもそうは思えないね。水にあたってお腹壊したらどうするんだよ」
男1「お前は心配性だなー」
男2「それにな、海外出張も命がけなんだよ。船で移動だろ? 
   嵐に巻き込まれたりして、帰ってくるどころか、まずたどり着けない場合もあるらしいし」
男1「えー、それは嫌だなあ。でもさ、冒険みたいで楽しそうじゃない?
   ♪ありったけの夢をーかき集めー」
男2「なにその歌」
男1「いや、いま思いついただけ。それで、期間はどれくらいなんだよ」
男2「未定」
男1「未定っ!?」
男2「未定っていうか、無期限」
男1「無期限っ!? それって、出張っていうよりただの人事異動なんじゃ・・・」
男2「それを言うなよ。島流しの刑ってか? 窓際族の方がまだいいよー」
男1「ん、待てよ。この時期に隋に行くってことは、もしかして──」
男2「なに」
男1「遣隋使っ!?」
男2「ああ。遣隋使だね」
男1「遣隋使かよ!」
男2「遣隋使だよ」
男1「遣隋使じゃないか!」
男2「だから遣隋使だってさっきから──って、それ、お前『遣隋使』って言いたいだけろ」
男1「言いたいだけだねー。すごいじゃん、遣隋使。エリートじゃん」
男2「え、エリートなの?」
男1「エリートだよ。なかなか選ばれないよ、遣隋使なんて。
   だって隋の文化を学んで日本に持ち帰るのが仕事だろ。すげえじゃん」
男2「そうかな」
男1「そうだよ。すげえなー、考えてもみろよ、お前が持ち帰った文化や技術が
   この国を豊かにし、文明を発展させるきっかけになるかもしれないだろ?」
男2「・・・そう?」
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