ai
◆ai上演の際の注意◆
 この作品には人間統合という言葉が出てきます。この人間統合によってだれかの性格や感情が透に吸収されるという風に解釈していただければけっこうです。
人間統合によって統合された人は消えてしまいます。したがって、数人いた場面が統合完了することによって透一人の場面に変わらなければなりません。すなわち統合完了することで透以外の人は舞台上からいなくなる必要が出てきます。
 この演出の仕方は演出家さんの創意工夫にお任せします。
 一応、いくつか例を挙げておきます。
 舞台にカーテンなどをつけておいて、その中に透と統合する人が入る。そして、カーテンを閉め、閉まったときに透以外の人間ははける。そして、カーテンが開いた時には透一人になっている。
 透と統合する人間がスポットの中に入る。そして、ゆっくりとスポットを消していくそのまま完全な暗転状態へ。そこで透以外の人がはける。次にスポットがついた時には透一人になっている。

◆登場人物◆

佐織



天使

龍太
悦子
春彦
勇二

正典
徹也


           ai(アイ)
                                  外山タカキ




 ここはごく一般の食卓の風景。そこで透と佐織が食事をしている。
 それを隠すような形で九人(勇二、僚、正典、徹也、登、悦子、龍太、遥、春彦)が取り囲んでいる。
 そして、その前には神、天使が座っている。
 日常を隠す幻想的な風景。

天使 人間って不思議だよね。植物は性格をもっているけど、感情をもっていない。人形は感情をもっているけど、性格はもっていない。でも、人間は両方持っているのだから。
神  そのとおりだ。考えてみなさい。
遥  悲しみがなかったら
僚   どんなに楽しいのだろう
春彦 楽しみがなかったら
徹也 どんなにつらいのだろう
龍太 つらさがなかったら
勇二 どんなにうれしいのだろう
悦子 うれしさがなかったら
登  どんなに悲しいのだろう
正典 人に感情がなかったら
遥   どんなにどんなにつらいのだろう
神   人に性格がなかったら
天使 どんなにどんなにつまらないのだろう

 ゆっくりと九人と神、天使は去っていく。透と佐織の食事の風景へ。
 幻想から日常への移行。

佐織 おぼっちゃま、おいしいですか?
透  ……。(無言ではしを動かす)
佐織 おぼっちゃま、勉強の方はいかかですか?
透   ……。(無言で食べる)
佐織 おぼっちゃま、友達はできましたか?
透   ……。(やはり無言)
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