憎花
 病院の中、心拍数の音。紗幕の前にベッドと長椅子。長椅子に赤井が座っている。笠井がメハジキを持って入ってくる。
笠井「おう。」
赤井「いつも悪いな。」
笠井「これ、いつもの。お前はすぐに枯らせるからな。」
赤井「ありがとう。」
笠井「ここはいつも殺風景だからな。」
赤井「そーだな。」
笠井「花、いつもの場所でいいな。」
赤井、じっとベッドを見ている。
笠井「どうした?元気がないな。」
赤井「あ、ん。」
笠井「思い出に耽っているのか?」
赤井「あいつらの答えは、結局これか。」
笠井「仕方ない。世の中にはやさしくない人間も存在する。」
赤井「笠井、俺は疲れた。お前の居ない職場で15年、戦い続けてきた。15年戦い続けて、結局は堂々巡りだ。」
笠井「そういう仕事だろ?」
赤井「そうだな。そういう仕事だ。」
笠井「坊ちゃんの様子はどうだ?」
赤井「あれはまるでモンスターだよ。」
笠井「こっちも同じくだ。化け物だよ。この世の悪意が詰まってる。」
赤井「前回と違うことは、俺たちが積み上げてるってことだな。」
笠井「そうだ。俺は外から、お前は中から。長かったな、15年。」
赤井「終わりにしよう。」
笠井「絶対悪からの解放だな。」
赤井「少なくとも、俺たちは正義とは思っていない。」
笠井「あの頃が懐かしいな。」
赤井「色のある世界だった。」
笠井「世の中には様々な人間がいる。」
赤井「俺は信じたよ。本気で信じていた。」
笠井「しかし、結局は俺と同じ道を辿った。」
赤井「あぁ。」
笠井「本当にいいのか。引き返せなくなるぞ。」
赤井「絶望的無気力感。セグマリンの動物実験だ。」
笠井「努力する契機を奪われたものは生きる能力を失う。」
赤井「今度は俺たちがセグマリンになるんだ。」
 間
笠井「明日は?」
赤井「部活だ。」
笠井「休日出勤、ご苦労様。」
赤井「若いときは何でもなかったんだけどな。最近、年齢を感じるよ。」
笠井「赤井、もうすぐそれも終わる。」
 赤井、ニヤッと笑う。
笠井「この後、一杯どうだ?昔語りでもしようや。」
赤井「悪くない。」
笠井「俺たちがどこでボタンを掛け間違えたか。」
赤井「笠井、珍しく感傷的だな。」
笠井「そういう日もある。」
 赤井、ベッドをじっと見つめる。つられて、笠井もベッドを見つめる。
笠井「ちょっと借りるよ。」
赤井「行ってくる。」
 赤井、笠井捌ける。暗転。紗幕オープン。
 明転
 学校。左から田中健太、大野灯、寺島拓、永田遼、田口優、岡崎瞳、
 渡辺朋子。全員椅子に座っている。半円形。
健太「じゃぁさ、人狼は2人の設定で行くよ。」
優 「おう。」
瞳 「健ちゃん、設定ってさ騎士と占い師だけ?」
健太「うん。まずかった?」
瞳 「えーつまんない。多重人格入れようよ。」
健太「えー、あれややこしいから止めようよ。」
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