世にも怪奇な夢物語 雪女 宇宙人大阪に現る 人間椅子
雪女
登場人物
雪女・お雪
茂作(年老いた木こり)
巳之吉(若い木こり)
巳之吉の母(老婆)
村の婦人
村の男

舞台中央パネルに巨大な一つ目の絵が飾られている。
吹雪の音と、雪が舞う。
パネルの上手下手にはけ口がある。
上手より巳之吉、続いて茂作が入る。

巳之吉「恐ろしい吹雪じゃ。のう茂作旦那。早う岸まで行かんと帰られんで。」
茂作 「道は合うとるんか」
巳之吉「こっちでいいはずじゃが。」
茂作 「うむ。同じところを回っている気がするが。」
巳之吉「そんなはずは・・・」

見渡す限りの雪と吹雪で立ち往生している。
巳之吉は、後ろから来ているはずの茂作を気遣いながら舞台上手下手をさまよう。
茂作はもう限界に近くなっている。

巳之吉「こりゃいかん。薪はここに残そう。」
茂作 「うむ」

巳之吉と茂作はその場に薪を降ろし、身軽になってさらに道を捜す。
吹雪の音がさらに強くなり、不気味な声に聞こえてくる。
狂ったように目を凝らして吹雪からの出口を捜す。
まもなくして水の流れる音。巳之吉は駆けつけるように舞台中央までくる。

巳之吉「わ、渡しじゃ、渡しまで来たが・・」

巳之吉は後ろの茂作を抱きかかえ、舞台中央で足元の渡し場の川をみる。

巳之吉「茂作だんな、渡りとうても、船は向こう岸に戻ったきりじゃ。それにこの吹雪じゃ、まさか泳いでも渡れん。」
茂作 「そうじゃな。そこの船着き小屋で待つとしようかい。」
巳之吉「仕方ない」

今にも倒れそうな茂作を抱えて二人は下手にいったんはけ、上手より再度入るとそこは小屋の中である
巳之吉は藁などを敷いて寝どこを整える。
茂作はその場に倒れるように横になる。
巳之吉もその横で眠る
突然、上手の小屋入口が開き、吹雪が舞い込んでくる。
慌てて巳之吉が扉を閉めるために上手に行き、つっかえ棒を立てて扉を抑える。
そのまま再び横になる。
しばらくすると、吹雪の音は止み、不気味な静けさになる。
上手より真っ白な衣装の雪女が入り上手手前に立つ。
そしてスーッと茂作にかがみこむ。
異様な気配に巳之吉は傍らの茂作を見るが、真っ白なものだけが見える。目を凝らしていると、白いものはゆっくりと振り返る。
言葉が出ずに固まる巳之吉。
雪女は立ち上がると巳之吉の方へ迫る。そして巳之吉にかがみこむが、しばらくして不気味な笑みを浮かべる。

雪女 「お前もこの老人のように殺してやろうと思ったが、気の毒な気がしてきた。お前はまだ若く美しいから、私はお前を助けてやることにした。だけど、お前は今夜見たことを、たとえお母さんにもいってはいけない。そんなことをしたら、私にはわかるのだから、その時はお前を殺す。」

雪女はすっと立つ

雪女 「私の言うことをしっかりと覚えておきなさい。わかったね」

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