朗読劇 ヘンゼルとグレーテル
~とある暗黒終末童話領域二幕~

「ヘンゼルとグレーテル」

作:ジョー&レミ


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この作品は、2010年に宇都宮文星女子高校演劇部のオフシーズン練習用として、
グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」を元に、好き勝手に書き下ろした朗読用台本です。
ト書きはあくまで情景のイメージのために書かれています。。
朗読劇として上演する際はご自由にどうぞ。
また、作中に多少グロテスクな表現が見受けられますのでご注意ください。
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~CAST~
ヘンゼル…兄。気弱で流されやすい。
グレーテル…妹。高圧的で性格が悪い。
若い女(魔女)…魔女。お菓子の家に住んでいる。

ヤーコブ…兄。アンナの家に引き取られた。
アンナ…妹。ヤーコブに好意を抱いている。
若い女(魔女)…魔女。お菓子の家に住んでいる。


第一幕
■ 捨てられた兄妹 ■

舞台はどこかの森の奥深く。朝、ヘンゼルとグレーテルが、燃え残ったたき火の周りでうずくまるようにして眠っている。
ヘンゼル「(寝言で)嫌だ、やめてください……彼女は何も悪くないんです……僕が、僕が。……お義母様!? お、お願いですから、これ以上は……。嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ……やめろーーー!!!(起き上がる)」
グレーテル「……」
ヘンゼル「夢、か……。(ため息)」
グレーテル「また、うなされていたのね」
ヘンゼル「グレーテル……起きてたのか」
グレーテル「ええ。どこかの誰かさんがずーっとわめいていたせいで、全然眠れやしなかったわ」
ヘンゼル「……ごめん」
グレーテル「別に。いつものことでしょう」
ヘンゼル「……気にしてる?」
グレーテル「何が?」
ヘンゼル「その、家での、こととか」
グレーテル「……なんで私が気にしなくちゃいけないのよ。ばっかじゃないの」
ヘンゼル「気にしてるよね」
グレーテル「気にしてない」
ヘンゼル「してるよ」
グレーテル「してないってば!!!」
ヘンゼル「怒鳴らないでよ! ……もう、そういうのはたくさんなんだ」
グレーテル「……」
ヘンゼル「……」
グレーテル「だったら……」
ヘンゼル「だったら?」
グレーテル「早くお父様たちのところへ帰りましょう!帰ることができるように私、パンくずをまいておいたんだから!」
ヘンゼル「……まだ帰る気なのかい? グレーテル」
グレーテル「あったり前でしょ! ほら、早く!」
ヘンゼル「パンくずをまいたのは僕なんだけど……」
グレーテル「言い出したのは私よ。確かここからずぅっとパンくずが……あれ?」
ヘンゼル「どうかしたのかい? グレーテル」
グレーテル「ない! ないわ! 私がまいたパンくずがどこにもない!!!」
ヘンゼル「きっと小鳥たちが食べてしまったんだよ」
グレーテル「“食べてしまったんだよ”じゃないでしょ!?どうするのよこれから! どうやって家に帰るのよ!?」
ヘンゼル「それは……」
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