ノーダウト
海月 作


ノー ダウト


〈キャスト〉

猪口(男子高生)
若林(女子高生)
















■ 屋上 ■
 
   学校の屋上。猪口、ベンチで寝そべっている。
   突然屋上の扉が開き、若林が入ってくる。
   若林、ゆっくりと靴を脱ぎ、きちんとそろえる。
   その上に紙をおき、屋上の塀に立つ。

猪口  おい!!やめろ!!
若林  え?お?

   猪口、若林を引っ張り塀から無理矢理おろす。

若林  おっおっおー。

   若林バランスを崩し転びそうになる。猪口が抱きしめる。

猪口  死ぬきか!
若林  殺すきか!
猪・若 え?
猪口  え?あ、違うの?え?違うの?!
若林  何が?
猪口  だって、ね?ほら、こうして、靴をそろえて、そこに紙なんか置いたらさ!ここ屋上だし、これ、定番中の定番っしょ?ふつーそう、考えるでしょ?
若林  定番って、誰が決めたのよ。
猪口  お?
若林  ふつーって何?この世界でふつーなことってどんなこと?
猪口  うっ…。
若林  ほんと、やんなっちゃう。
猪口  ちょっと待てよ!心配かけた相手に対して、それは失礼(さえぎられる)
若林  頼んでない。
猪口  じ、…じゃあ、まどろっこしいことすんな!
若林  あなたが、相手をちゃんと知ろうとしないで自分の物差しでふつーをはかるのが悪い。
猪口  はぁ?あのな、俺はお前をとめよう(遮られる)
若林  一つ。私は靴が嫌い。だから、脱いだ。
    一つ。私はきんとしてないことが嫌い。だから、靴を揃えた。
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