白くなりゆくこの部屋に
白くなりゆくこの部屋に

生活 朝 AM7:00

早く起きた日の朝、
ご飯が炊ける匂いと、
もうすぐ出来上がる味噌汁の具材を切る音が聴こえてくる。
僕は、それが油揚げだといいな、
と思いながら布団から出るのだ。


男 柳権
女 柳結

女が朝ご飯を作っている
食卓の上には一枚の白い紙

しばらくしてパジャマの男が出てくる
食卓に座る

男 おはよう
女 あ、おはよう。どうしたの?
男 なんか、目ぇ覚めて。いい匂いしたし。
女 お弁当作ってたからね。あ、さっきラジオで言ってたんだけど今日は天気いいんだって。
男 あら、ホント。良かった。麦茶ってまだあったっけ?
女 さっき沸かしたのがあるけど、飲む?
男 うん。
女 まだあんまり冷えてないけど、氷入れる?
男 いいや。熱い方が目覚めるし。
女 じゃああたしも飲もうかな。

女食卓の男の向かいに座る

女 はい。熱いから気を付けてね。
男 ありがと。あつっ。
女 ふふっ。熱いっていったじゃん。
男 いや、思ってた熱さの上をいってた。
女 なにそれ
男 飲めば分かるよ。あつっ。あ~、うまい。
女 え~。うん、美味しい。
男 あれ、熱くないの?
女 うん。ちょっと氷入れたし。
男 あ、ズルい
女 なにがズルいのよ。ケンちゃんも入れればよかったのに。
男 氷を入れる行為自体がルール違反なの。
女 何それ
男 自分ルール
女 じゃあ私はそのルールの適用範囲外でしょ
男 …確かに
女 目、覚めた?
男 うん。自分ルールはもう人に言わない
女 そういう精神的な目覚めじゃなくて。起きたのって聞いてるの
男 あ、うん
女 そう。じゃあ朝ご飯食べる?
男 …食べる
女 用意するね

食卓にご飯、味噌汁、漬物が並ぶ

女 お弁当に手をかけたから朝は質素になっちゃった
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