月の夜に希望を見る
灯:「こっちだ、早く!!」
夜空:「灯!早いよ!待って!」
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0:SE銃声
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雪鷹:「ちっ、すばしっこい!」
真澄:「師匠!あなた馬鹿ですか!こんな街中で無闇矢鱈と撃たないで下さいっ」
雪鷹:「うるせー!人払いは済ませてんだろ!?もう時間がねーんだよ!てめぇも焦ろ馬鹿弟子!」
真澄:「これでも焦ってますよ!」
雪鷹:「クッソ、見失った!……真澄、あと何時間でタイムリミットだ?」
真澄:「あの子供ー【発症体】が確認されてから二十時間は経ちました。遅くとも四時間以内には……」
雪鷹:「あのチビ餓鬼は、化け物になるってこったな。それまでに処分しねーと。つか、何なんだ、あのもう一人の奴はよ」
真澄:「あの小年は、今回発症した子供と同じストリートチルドレンだそうです。何故一緒にいるかは知りませんが。というか、資料読んでないんですか?逃げ足だけじゃなく腕っぷしも強いし、ここら辺のスラム街じゃ、一目置かれてるそうですよ」
雪鷹:「資料なんかお前だけ読んでりゃ十分だろ。俺は要点をまとめた話をお前から聞けばいい」
真澄:「名の売れたハンターの台詞とは思えませんね。全く呆れます」
雪鷹:「真面目はお前だけで十分だ。つまり今、俺らは、スラム街を知り尽くしたやつと追っかけっこしてるわけか。ちっ、どおりですぐ見失うわけだ。他のハンター達が手こずって俺に仕事が回ってきたのもわかる。こりゃ土地勘がねーと、ちとキツイなー」
真澄:「どうしますか?師匠」
雪鷹:「仕事を受けて乗り込んだ直後にターゲットにばったり出くわして、こりゃすぐ片が付くと思ったのによー。仕方ない。真澄、地図出せ」
真澄:「はい」
雪鷹:「闇雲に捜しても、さっきみたいな幸運に当たる可能性はない。アタリをつけるしかないだろ」
真澄:「わかるんですか?」
雪鷹:「俺は今逃げてる餓鬼と一緒でストリートチルドレンだったからな。地図を見りゃ大体餓鬼が隠れそうな場所はわかるさ。経験上、な」
真澄:「今も十分に悪餓鬼だからではないんですね(雪鷹に拳骨を落とされる)いつっう…!」
雪鷹:「口は災いの元だぞ真澄ぃ~?」
真澄:「……っこの馬鹿師匠」
雪鷹:「ん?またなんか聞こえたぞ」
真澄:「いえ、何でもありません」
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灯:「撒いたね」
夜空:「もう一歩も動けないよー」
灯:「動いてよ。じゃないと殺されるよ」
夜空:「灯はいーよね、足長いからさ!私はそんなに長くないんだよっ」
灯:「成長すれば……って、夜空はチビだから無理かもな」
夜空:「平均だよ!!多分!」
灯:「大声出すなよ。見つかるだろ」
夜空:「うー…ねぇ、なんで私こんなことになっちゃったのかな。昨日までは、ふつーだったのに、いきなり羽が生えて、化け物なんて言われて、命狙われるなんて」
灯:「……【異死病】(いしびょう)」
夜空:「異死病?ナニソレ?」
灯:「突然、体が別の生物になる奇病だよ。原因は不明だけど、発症したら、二十四時間以内に理性もなくなった化け物になって、凶暴化した挙げ句、三十六時間後には死ぬ。珍しい病気で、治療法はない。化け物になった奴は凶暴化して人間を襲うから、国はハンターを雇って、発症した奴を処分する」
夜空:「……それに私がなったって事?」
灯:「そうだね」
夜空:「じゃあ、私、死ぬの?化け物になって」
灯:「あぁ」
夜空:「あぁ、って、何でそんな冷静なのさ!」
灯:「何でって仕方ないだろ。現実なんだから」
夜空:「そういう問題じゃなくて!」
灯:「じゃあ、どういう問題?」
夜空:「…っ、何でそんな大事な事黙ってたの?」
灯:「知ってると思ってた。知らなかったんだね。あぁ、そうか。忘れてた。夜空は捨て子で、拾われたサーカス団で下働きしてたんだもんね。知るわけないか」
夜空:「……思い出したくない」
灯:「夜空を鞭で打つ人間はもういない。安心しなよ」
夜空:「銃で撃たれるかもしれないけどね」
灯:「上手いこと言う」
夜空:「ほんとに、灯が何考えてるかわかんない。その病気に私がなったなら、凶暴化した時に真っ先に襲われるのは灯じゃんか」
灯:「そうかもね」
夜空:「何で私と一緒に逃げてるの?ハンターに突き出せば、謝礼金くらいは貰えるかもしれないよ」
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