僕のロケットは月を目指す
僕のロケットは月を目指す



宇野 満(うの みちる)
アス

同級生たち


先生
兎たち




  ぼんやりとした月明かり。
  ひとりの少年、ただ、黙々と絵を描いている。


満    例えば、「空を飛んで月に行ってみたい」とか

満    「ヒーローになって世界を救いたい」とか
    「魚になって海の中を泳いでみたい」とか
    「タイムスリップして未来の自分に会いたい」とか

満    「遠く、遠く誰もボクのことを知らない場所まで行きたい」とか

満    夢のようなことを、僕はずっと願っている

満    描いて、描いて、描き続けて。僕はひとりで、終わりのない宇宙のように。いつまでも夢を描いている

満    それでも、暗がりの中で僕は待っている。僕にも届いてくれる月明かり。どうか、誰か僕を連れて行ってはくれないか


  ふと、夜空を走る強い光。
  まっすぐに地球を目指すその光を、満は見つける。


満    …そして、終わりのない宇宙で、そのロケットはまっすぐに地球を目指していた




  墜落したロケット。
  煙が上がっている。

  そこに、フードを目深にかぶり、スケッチブックを持った満がやってくる。
  ロケットを見つける。
  驚きながらも周りをぐるぐるしながらロケットを観察している。
  恐る恐る触ってみる。

  こんこん、とロケットを叩いてみる。

  その瞬間、ロケットの中からすさまじいノック音が返ってくる。
  助けを呼ぶ大きな声も聞こえる。


アス   おーい!たすけて!誰かいますか!

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