電話の話
「電話の話」
安田
山手
音響、「電話の保留音」
安田 お待たせしております。３組担任の安田です。
山手 だいぶ待たせるのね。
安田 すみません。下校指導に行っていたものですから。
山手 ほんとかしら。出たくないんでしょ？
安田 いや、そんなことはなくてですね。
山手 いいわよ。で？
安田 えっと。
山手 報告。
安田 あ、はい。
山手 早くしなさいよ。
安田 えっと少々お待ちください。
山手 忙しいのよ。
安田 はい。
山手 はやく。
安田 えっと、すみません。
山手 ほんととろいわよね。よく教員やってられるわ。
安田 すみません。えっと。
山手 なに。
安田 本日ですが、マナヤ君ですが、朝、３分ですけど、遅刻しまして。
山手 え！
安田 あ、はい。
山手 うそでしょ！
安田 いえ、うそでは。
山手 なんでよ！
安田 いや、そういわれましても。
山手 うちはちゃんと８時には家を出てますから！
安田 はい。
山手 遅刻なんてするわけないでしょ！
安田 えっと、すみません。でも３分遅刻を。
山手 はあ？？
安田 すみません。
山手 取り消しなさいよ。
安田 はい？
山手 家は８時出てるんだから、遅刻じゃないでしょ？
安田 えっと、あ、え？
山手 朝も７時４５分には起きてるし。遅刻ではないでしょ？
安田 えっと、あの、そう、とも考えられますが。
山手 遅刻はしてないわよね。
安田 ただ、教室についた時刻で遅刻かどうかは決まりますので、その。
山手 は？何言ってのよ。これだから公立の教員は融通が利かないのよね。
安田 ええ、はあ。
山手 アメリカではね、遅刻という概念自体ないの。
安田 アメリカですか。
山手 そう、アメリカ。
安田 アメリカ。
山手 そうよ、アメリカはそうよ。
安田 そうなんですね。
山手 そうよ。
安田 でもですね、ここはその日本
山手 ユーゴスラビアもよ。
安田 へ？
山手 ユーゴスラビア。
安田 えっと、ユーゴ
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