明日世界が終わるとしたら
翠の部屋

俊明:あぁ…もう嫌だ…
翠:またその話か。そろそろ私も聞きあきたんだが?
俊明:そう言うなよぉ、聞いてくれよぉ
俊明:あのクソ店長め、新しく入ったバイトの女子高生に鼻の下伸ばしてデレデレと…あぁ!気持ち悪い!
翠:始まったか…
俊明:そのくせ自分が発注間違えたのを、さも俺のミスみたいに嫌味ったらしくブツブツブツブツしつこい…セクハラパワハラ好き放題…!!あぁ!腹が立つ!!
翠:だから何度も言ってるじゃないか、もうそんな所は辞めて、新しい職場を探した方がいいと…
俊明:辞めたいよ!辞めたいけど…新しい職場探す気力もない
翠:わがままだなぁ
俊明:…辞めてぇ…
翠:だから、辞めればいい
俊明:働きたくない…
翠:極論…
俊明:だって…
翠:まぁそう言いたい気持ちもわからなくもないか。
翠:ふむ…なぁ、俊明。もし明日世界が終わるとしたらどうする?
俊明:は?
翠:だから。明日、もしこの世界が終わるとしたらどうするか、と聞いている
俊明:…逃げる
翠:どこに?世界が終わるのにどこに逃げる?
俊明:あぁそうか。んー…明日世界が終わるとしたら…何、何…何するかなぁ…
翠:どこに行って何したい?誰と、過ごしたい?
俊明:いきなりそんな話振られてもなぁ…うまいもん食うかなぁ
翠:昨日、期間限定のバーガー食べて、大満足だって言ってたじゃないか
俊明:いや!そういうんじゃなくて!銀座の回らない寿司とか、三ツ星の高級フレンチとかそういうのだよ!
翠:ほぉ
俊明:こんなに美味いもの食ったの初めてだ~って気持ちで最後を迎えるのなんか、いいと思わないか?高いワインなんか飲んじゃってさ!
翠:もしそれが口に合わなかったらどうする?高級な寿司やフレンチも必ず口に合う訳では無い。繊細な味だ。
俊明:そう、なのか…?
翠:万人の味覚が同じじゃないだろう?普段インスタントや味の濃い物ばかり食べているお前に、その味がわかるかな?ましてやワインなど飲んだこともないのに
俊明:うっ!確かに、それは怪しいかもしれん…
翠:自覚があって何よりだ
俊明:じゃあライブに行く!叫びまくって最高!ってなるだろ?
翠:やってなかったら意味ないな
俊明:あ~…んっとー、それなら…それなら…リゾート地だな!美人のおねーさんが迎えてくれる様な~
翠:おい、鼻の下が伸びてるぞ
俊明:伸びてねーよ!
翠:くすくす…他には?もう無いのか?
俊明:遊園地貸し切り!
翠:世界の最後に大枚はたくのか?
俊明:おう!キャラクター独り占めだぞ!
翠:それはなかなかに壮大だな
俊明:アトラクションも独り占め、待ち時間無し、パレードも独占。写真取り放題!
翠:それは…寂しい遊園地だな
俊明:えっ?…あぁ、そう言われたら確かに。客が俺だけってのもなぁ。そもそもキャラクター、よく知らん
翠:じゃあなんでそれを挙げたんだ…
俊明:いや、何となく…大人のロマン的な?
翠:つまらんなぁ
俊明:そういう翠はどうなんだ?明日世界が終わるってなったら、何したい?
翠:私はもう決まっている
俊明:マジで?!何?何すんの?
翠:ふふん、興味があるか?
俊明:人に散々聞いておいて自分は言わないとかズルくないか?
翠:別にずるくはないだろう?
俊明:ずるいよ
翠:子供か。まぁ隠すつもりは無いが…
俊明:無いのかよ
翠:ふふっ
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