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まっちうりの…

　まっちうりの…
　　　
　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　作　さとうたおる

【登場人物】

・まっちうり
・通行人Ａ

【時間・場所】

時間：現代？のクリスマスシーズン、夕方
場所：街角の雑踏の中

【効果音楽】

Chris Rea　「Driving Home For Christmas」

　　音楽が流れ、幕が上がる。音楽とクロスフェードして街の喧騒が聞こえてくる。やがて舞台中央が少しずつ明るくなっていくと、みすぼらしい姿で裸足の女（まっちうり）が立っている。舞台中央にベンチが一台、可能であれば街灯。まっちうりの手には粗末なかご。喧騒は次第にフェードアウトし、まっちうりは手を息で温めながらうろうろして、街を行き交う人々に呼びかける。。
　
まっち　…あの…すみません、…あの…もしもし、って電話みたい…こんにちは！…あ、いえいえそんな…宗教じゃないっつーの…ハーイ…やっほー…いやいや、基本に戻って…すみません、あの…誰か、誰か…（ため息をつく）…こんなに大勢、人がいるのに…私は、ぼっち…ぼっち、ぼっち…

　　まっち、うずくまる。カゴの中からマッチを一箱取り出してじっと見つめるが、首を振りかごの中に戻す。しかし再びマッチ箱を取り出し、今度はマッチ棒を一本取り出して見つめる。そこに、普通の格好をした普通の人（通行人Ａ）が通りかかる（まっちの後ろを歩くので、まっちは気づかない）。まっちに一瞥をくれながらもいったん通り過ぎるが、戻ってきてまっちの様子を不審気に窺う。
　　まっちがまさにマッチに火をつけようとしたとき、通行人Ａが声をかける。

Ａ　あの。

　　まっち、Ａを見る。

Ａ　…こんにちは。

まっち　やったあ！

Ａ　え。

まっち　ぼっち卒業！

Ａ　あの、

まっち　あれ？

Ａ　え？

まっち　（マッチを見て）まだ擦ってなかったのに。

Ａ　…マッチを？

まっち　はい。

Ａ　マッチ擦ろうとしてたの？

まっち　はい。

Ａ　あのね。

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