Oneday To Someday 第五話
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○ 今日はありがとう。
◆ こっちこそ誘ってくれてありがとう。
○ じゃあ、お互いに感謝って事で。
◆ 7:3(ななさん)かな。
○ ななさん?
◆ こっちの感謝が7で、そっちの感謝が3。
○ いやいやいや、7と3ってこっちが半分以下になっちゃうから!
◆ じゃあ6:4(ろくよん)?
○ 6:6(ろくろく)でいいよ。
◆ 足したら10越えてるけど?
○ 感謝が多くて悪い事なんてない!
◆ …そうだね。次はいつ頃になるかな。
○ 私としては、今日再会した人たちがまた個人的に繋がってくれれば次なくてもいいか
  なって。

◆ 駅まで送る道。
 
  彼女にとって今夜は良い夜のままであって欲しい。
  余韻を奪ってしまう様な話題は口にしないほうがいい。

  だから、あわよくばの言葉は喉の奥に押し込めた。

○ あのさ、休みってあんまりないよね?
◆ 社畜って言っても、 他に用もないから残業してるだけっていうか。有休も残ってる
  し。
○ 今月中って暇? 良ければちょっと付き合ってもらえたらなって。
◆ 多分大丈夫。何?
○ 今こうやって君と歩いてたら、放課後の帰り道を思い出したから。実際あの頃通って
  た辺りに一緒に行けたらいいなって…。

◆ 思い返しながら思い描く。
  過去があったからこその未来を。

  彼らの家に招かれて食事をしながら、彼女と懐かしい道を歩きながら、どんな話をす
  るだろう。

○ 微妙かな?
◆ むしろいいと思ったよ。楽しみになってきた。
○ なら、よし。…その時さ、ちょっと言いたい事あるから。
◆ 何? 今じゃダメなの? ああ、もう電車の時間が厳しいよね。
○ いいから、その時で! 送ってくれてありがとう。またね! 連絡する!

◆ 慌ただしく改札の向こうへ去っていった彼女の余韻が残る中、心の中で「ありがと
  う」を送った。

  次に会った時は声に出して伝えたい。
  練習、しておこうかな。

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思い出のいつかから、夢見るいつか。
written@2023

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