音に揺られて咲く花へ
松山帆澄:(まつやまほずみ)ピアニストの母親の影響で絶対音感持ち。それ以外はピアノが上手いだけの平凡な男子学生。
白水詩音:(しらみずしおん)幼少期からヴァイオリンを嗜んできたお嬢様。けれどそんなに上手ではない。天真爛漫な女子学生。
響澄詩:(ひびききよし)音楽の臨時講師。なんどもピアノコンクールで賞を貰っている実力者。普段は落ち着いていてのらりくらりしているが、ピアノに対する熱量は半端じゃない。イケメンというよりハンサム。

松山帆澄♂
白水詩音♀
響澄詩♂


―音に揺られて咲く花へ-


帆澄(M):俺は音楽が嫌いだった
帆澄(M):でもピアノはそれなりに弾けた。母がピアニストだったから
帆澄(M):嫌いでも、習慣化とは恐ろしいもので段々と上手くなっていくものなのだ。
帆澄(M):男がやる楽器っつたらギターとかドラムとかそういうカッコイイやつが基本で。ピアノなんか女の子がやるもんだとずっとどこかで思っていた。女の子の楽器が上手いなんてなんか恥ずかしい。
帆澄(M):そんなこともあって俺は音楽ずっと嫌いだった。

――音楽室、響が座っているところに詩音がとびだしてくる

詩音:ひーびきせんせーっ!
響:やぁ、白水さん。あいかわらず元気だね
詩音:それが私の取り柄ですもの!・・・それより今日も・・・
響:今日もかい?勉強熱心なお嬢さんだ
詩音:だって!先生に教えていただけるなんて人生に何度経験出来るか分からないもの。
響:でも君の楽器は私の専門分野ではないんだよ?それでもいいのかい?
詩音:いいの!私は先生に教えてもらいたいのよ!
響:しょうがないね・・・今日は吹部の指導もあるから少しだけならいいよ。
詩音:やったー!吹部の部長に第二音楽室の許可貰ってくるね!

――詩音勢いよく教室を出ていく時に帆澄とぶつかる

帆澄:うわっ!
詩音:あっ!
響:おーい大丈夫かー。保健師の先生美人だから連れてきてやってもいいぞ
帆澄:いえ・・・大丈夫です
詩音:せんせーサイテー
帆澄:ごめん白水さん
詩音:いいの!こちらこそごめんなさい。つい嬉しくなっちゃって前を見てなかったの。
詩音:それであなた・・・だれだっけ?私の名前知ってるみたいだけど・・・
帆澄:君の名前を知らない人なんて校内にいないんじゃない?俺は松山。
詩音:そうかしら?そんなに有名?
帆澄:オーケストラ部がないのにヴァイオリン持参してるお嬢様って超有名だよ。知らなかったの?
詩音:周りのことなんて興味無いもの。
帆澄:そうですか。
詩音:じゃ!
帆澄:・・・ほんとにお嬢様かよあいつ・・・
響:松山くん。
帆澄:なんですか?こんなとこ呼び出して、俺音楽室嫌いなんですけど。
響:ん?何を言っているんだ。呼び出されるようなことをしたのは君だろ?
帆澄:はい?
響:今度の合唱コンクールのピアノ伴奏に立候補したのは君じゃないか。

――間

帆澄:・・・は?
響:・・・ん?
帆澄:俺・・・立候補なんてしてないすけど・・・
響:これを見てみなさい

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