中学・高校生向け一人芝居「追い詰められて」
 一人芝居「追いつめられて」
    

☆登場人物
清水亜莉子・・中学二年、先輩と演劇祭に出場予定。2週間後に控えた月曜日、二人芝居の先輩が広告取りに出かけた先で車と接触転倒、手足を複雑骨折で入院しなくちゃならなくなりリタイアしなければならなくなった。顧問は当てにならず、さりとてこのまま出場辞退もしゃくだし、やっと舞台に立てることになったのに。えーっこうなりゃ一人芝居サーといなおったものの、台本どうするよで切羽詰まってしまう。あと5日、5日で書こう、それで書けなきゃ、あきらめる。そう宣言したもののアイデアは中々出ない。焦る亜莉子だが、一日一日と時間は過ぎていく。どうにもならないこのピンチ!どうする?!
後藤真希先輩・・中学三年。これも最初で最後の演劇祭。亜莉子との二人劇の台本を書いてやっとこ出場というはずだったが。劇には登場しない。
本城先生・・演劇部顧問・・劇には登場しない。

                   。
    校内放送のチャイム。続いて放送が入る。(放送の途中から緞帳が上がる)

放送   図書委員会から図書委員の皆さんにお知らせいたします。本日四時より図書室にて定例会を行います。各クラスの図書委員は四時になりましたら本館二階の図書室に集合してください。繰り返します。四時より図書委員会の定例会を行いますので各クラスの図書委員は図書室に集合してください。

    校内放送のチャイム。
    (緞帳が上がりきったあとアリスの登場までの時間をきちんと計算して間抜けな間にならないこと)。
    大黒は締まっていて、ひき割り幕も途中まで狭めてある。部室の入り口という設定。ひき割り幕の前に無人の演劇部部室のセット。ごちゃごちゃした道具や、段ボール箱、本棚等、ゴミ箱等が脇の壁際の両側に並んでいる。壁には、割と大きめな手づくりの演劇祭まであと何日という日めくりカレンダーがあり、あと14日と赤いマジックで書かれてあるのがあるのがわかる。中央に机が二つやや斜めにつきあわせて並べられている。椅子が二脚ある。机の上に一冊の台本と、空き缶を利用したペンケースがのっており、ペンケースには何本か鉛筆やボールペンが入れてある。台本の表紙には大きく「月光の檻」とある。
    その他、部室には化粧道具箱とか着替えのファンシーケースとか大きな衣装用ケースとか、舞台用のピンスポットの古いのとかサス用のライトとかがいくつかおいてある。(このあたりは適当に。なくともよい。演劇部の部室だなぁと分かれば良い)。なぜか等身大のモデル人形、へんな帽子をかぶせてある。フラフープなんかもある。(このあたりは用途不明の何となく遊ぶための小道具として、適当に用意)少し雑然としているが居心地のいい部室の感じにすること。またあまり詰め込まないこと。但し、段ボールを貼り合わせて作った大ぶりの西洋の剣と楯はさりげなく隅に置いておく。あと、掃除道具一式は必ず置いておく。
    校内放送の終わりのチャイムが鳴り終わるか終わらないうちに、ばたばたっと駆け込んでくる足音と共に制服の亜莉子がカバン(ないしはリュック)をもって駆け込んでくる。一息ついて室のドアを開けながら。

亜莉子 ごめんなさい、真希先輩、おくれましたーっ。

    勢いよく開けて謝るも、誰もいない部屋に。

亜莉子 あれっ?・・今日稽古だよね。

    壁のカレンダーをみて。うんうんと頷き。

亜莉子 時間ないのにもう。今週が勝負だっていってたの先輩でしょうが。

    と、カバンを机に置く。

亜莉子 まったく。

    と、ちょとふてくされる。やおら台本を取り上げながら。

亜莉子 こんなとこにおきっぱじゃダメでしょ、先輩。

    と、いって題名を読む。

亜莉子 月光の檻。

    間があり。

亜莉子   ・・うーん題名はかっこいいんだよねー。うん。題名は。イメージもかっこいい。ただなぁ・・。

    と、ぶつぶつ。そのまま、座ってページをめくり、ト書きを読み始める。

亜莉子 音楽と共に緞帳が上がる。教室。青白い月光が斜めに差し込んでいる。机と椅子がいくつか並び子ども達が座っている。授業のようだ。そのうちの一人の子供の周囲だけが明るく他の子ども達は影の中にいる。その子供は鉛筆を持ち、身体が硬直したような、なにかにおびえたような異様な緊張感に包まれている。その子供が座る椅子と机の周囲は段ボールの壁で囲まれ、その子供を周囲から遮断している。いやむしろ子供が周囲を遮断している。あたかも塹壕や城に立てこもる兵士のように、教師がいるあたりをじっと見つめ続け。やがて。

    間。

亜莉子 うんうん。なんか不穏で、ぜったいこりゃなんか起こりそうで。でもこれ難しいんだよねー。中学生がやるのは、まあ今回やるんだけど。真希先輩頭いいし、難しいこといつも考えてそうだし、台詞負けはしないだろうけど・・まあうっかりネタ提供した私が言ってもなんだけど・・しかし、芝居上がるかなぁ。

    日めくりを見る。

亜莉子 せめて一月欲しいよねー。台本渡されたの先週末だし。読み合わせから考えるて、うーん、ランニングタイム40分ぐらいかな。まあ、少し短いんで助かるけど。(ぱらぱらめくり)ちとやばいかもなぁ。

    ちょっとため息。腕時計を見て、うーんと唸る。

亜莉子 どこ行ったんだろ先輩・・買い出しかな。小道具用の何たらつうのが足りないっていってたし。それともまさかの広告取り?・・あんたじゃ、無理、無理っていってたし、押しが弱くてすんませんね。練習後一緒に行こうって言ってたわりにせっかちさんだから、先輩は。・・はぁ、それにしても連絡ぐらい、あってもいいんですけど〜
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