中学生向け二人芝居「我がカムパネルラへ」
「我がカムパネルラへ」

水島亜莉子(アリス)・・演劇部員
麻木(あさぎ)さん・・同



☆Ⅰプロローグ

        蛍の光の曲がかすかに流れる。
        緞帳が上がると前作(「追い詰められて」)と同様の演劇部部室のセット。
        生徒用の机が向かい合わせに二つ並べてあり、椅子が2脚それぞれにおいてある。
        蛍の光の曲が消えると、少しの間を置いて、亜莉子が入ってくる。久しぶりの部室のようだ。胸には造花のコサージュ。手には卒業証書の筒(いわゆるポン)を持っている。筒を机の上に置き、周りを見回す。蛍の光のメロディーを口ずさみながら、棚を見たり、置いてある台本をぺらぺらとめくったりしている。
        麻木さんがやってくる。胸にコサージュはないし、卒業証書入れも持っていない。少し亜莉子を見ていたが、入り口に立って亜莉子のメロディーについて歌いはじめる(途中の歌詞からで良い)。亜莉子驚いて、振り向く。

麻木        (にっこり笑って)ここだと思った。やっぱりね。
亜莉子       麻木さん!びっくりしたー。
麻木       なつかしいー。久しぶりだよ。部室来るのは。
亜莉子       最後にね。ちょっとよろうかなと。
浅木       わかるわかる。私も。

        麻木さん、つかつかと舞台前の方へ行く。(ここに部室の窓があるという設定。)窓を開けようとするがなかなか開けにくい感じ。

麻木       よいしょっと。はーしんど。相変わらずの窓やね。

        亜莉子、よっていく。麻木さん少し体をずらして、二人で並び、窓枠に肘をついて(高さの設定が厳しければ手をついて)、外をみるマイム。

麻木       こっからあの銀杏(いちょう)の大木見る事もないんだね。
亜莉子       うん。あの葉っぱを掃除する事もないし。
麻木       しかし、銀杏(ぎんなん)くさかったなぁ。
亜莉子       手にべたべたがくっつくし、ホーキやちりとりもぐちゃぐちゃになるし。麻木       けど、銀杏集めてた先生いなかったっけ。
亜莉子       いたかな?
浅木       銀杏の炊き込みご飯作るんだってがんばってた人。
亜莉子       覚えてないなぁ。
麻木       そっか。・・見事に葉っぱ無いねー。
亜莉子       又、出てくるよ。わっさわつさと。
麻木       でもって、後輩達が又苦労すると。
亜莉子       そういうこと。
麻木       じゃ、後輩にエールを送っとこう。めげるなよって。
亜莉子       エール?
麻木       そーだ。あれ。

        と、室内用のホーキとちりとりを持ってくる。ちりとりを亜莉子に渡し。

麻木       銀杏掃除にくろうする後輩諸君にエールを送る。校歌斉唱!
亜莉子       えーっ、校歌ぁ。それにそとぼうきじゃないし。
麻木       いいの、気持ち気持ち。・・中学校校歌一番!

        この校歌は上演者の中学校の校歌を使う事。
        二人、窓の外に向けて掃除道具を持ったまま、校歌1番を歌う。
        歌い終わり、間。二人ともしんみりした雰囲気。

Ⅱ台本たち
麻木       ほんととあっという間だったなあ。
亜莉子       何が?中学校?
麻木       部活。
亜莉子       ・・そうだね。・・ほんとにあっという間。

        間。

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