隣のトナリくん。
(登場人物)
①近衛(このえ)男性。大学生。天文サークル所属。引きこもり大学生。
②都成(となり)男性。大学生。天文サークル所属。元引きこもり。近衛の大学の後輩。
③アナウンサー 女性。
④橋田(はしだ)男性。近衛の大学の友人。天文サークル所属。
※性別は変更して構いません。
   
◯場面 午前10時頃 近衛が一人暮らししている部屋にて。望遠鏡もあれば良し。ゴミ袋とか投げ捨ててある。真ん中に低いテーブルが一つある。
  
   
上手 スポットライト。マイクを持ったアナウンサーが出てきて、原稿を読む。
   
アナウンサー「午前10時のニュースです。とうとう地球滅亡まで、あと7日。KASAの発表によりますと、超巨大隕石は軌道を変更することなく、一直線に地球に向かっているとのことです。各国は数か月前からアメリカとイギリスを中心に、この人類史上最大の危機を回避するため様々な作戦を遂行してきましたが、どれも失敗に終わってきました。」
   
徐々に照明が舞台全体を照らす。
舞台中央に胡座をかいて、インスタントラーメンを食べる近衛。食べながらアナウンサーを見ている。
  
アナウンサー「それでは、街の皆さんに今の心境をインタビューしてみましょう!」
   
アナウンサー ずかずかと近衛の部屋に入ってくる。
   
近衛「え!?え、え!?」
   
近衛 食べるのをやめて慌てて立ち上がる。
アナウンサー 近衛にマイクを向ける。
   
アナウンサー「お食事の最中、申し訳ありませーん!お見受けしたところ、学生さんのようですが、今日は学校お休みですか?」
近衛「え、え…その、あの、大学は、ちょっと事情があって、長く休んでて….。」
アナウンサー「なるほど!まあ、人生は色々ありますからね!では、地球滅亡が迫っている今のお気持ちを率直にお聞かせください!」
近衛「いや、まあ…、こればっかりは人間の力ではどうしようもないことですから…。もう諦めていますけど。」
アナウンサー「とても冷静なんですね!ちなみに、ご家族やご友人はどのような反応ですか?」
近衛「し、知らないです…。連絡をとらないので…。」
アナウンサー「多くの人が最後の時は大切な人と一緒にいようと決めているようですが、そういうご予定もない?」
近衛「はい….ないです。あの、なんかすんません。多分、人選ミスですよね。」
アナウンサー「(しらけた感じで)ーーーはい、貴重なご意見ありがとうございました。」
   
アナウンサー 上手に戻る。
   
アナウンサー「このように、街の皆さんはまだ現実を受け入れることをできずにいるようです。人類は本当に滅んでしまうのか…。わたしたちは大きな局面に立たされています。」
   
アナウンサー お辞儀をしてハケる。
   
近衛「……マジで何だったんだ…?」
   
近衛 あっけにとられながら、また食事に戻る。ラーメンを一気にかき込み、炭酸をごくごくと飲む。
   
近衛「ふー、食った食った。美味かった!」
  
そのまま背中から床に倒れ込んで、天井を見つめる。
  
近衛「…巨大隕石、ねえ…。」

少しの間

近衛「ははっ、ざまーみろ。
こんな世界、とっとと滅んでしまえばいいんだよ…。」

次の瞬間 閃光のようなものが部屋を走る。
近衛 驚いて起き上がる。

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