あらすじ
山中中央高校演劇部は今年度で廃部が決まっている。部員は二年生の田代麻衣と、軽音部から流れてきた一年生の島崎ゆりのふたりだけ。正式に登録した新入部員はゼロ。学校の厳しいルールで新規募集もできなくなり、秋の大会を最後にその歴史に幕を閉じることが決まっていた。
最後の舞台に向けて台本作りに悩むふたりだが、ゆりが提案したのは「演劇部の最後をM-1出場の物語にする」という奇策。麻衣は呆れながらも、次第に漫才の練習に巻き込まれていく。
しかし演劇部が廃部になる背景には、少子化による学校縮小、部活減少、さらに過去の失策によって学校側から疎まれていたという事情があった。
ふたりのふざけ合いの裏にはもう一つ秘密がある。この部室には天才脚本家で消息不明の先輩・栗田佐紀が“いる”のだ。麻衣とゆりの掛け合いは、佐紀に再び台本を書かせるための「芝居」だった――。
ラスト。麻衣はつながらない黒電話に向かって語りかける。「待ってますよ」。静かな夜、部室の隅でパソコンの光がともり、佐紀が動き始める。