あらすじ
街角のベンチで、神経質なスマホ依存気味の男・林は、顔の周りを飛び回る虫を必死に払っている。そこへ友人の岡本が現れ、事情を尋ねるが、林は「虫がついてくる」と真剣。やがて林は気づく――虫が消えるのはスマホの通知を開いた瞬間だ。通知の赤い丸を「虫の知らせ」と呼び始める林に、岡本は呆れつつも巻き込まれていく。二人の周囲を行き来する“虫”は、際限なく届くクーポン通知だった。林は「クーポンのために虫を受け入れる」と宣言し、依存を深めていく。だが、バッテリー残量が減り通知が止まると、虫も姿を消す。静寂に戸惑う林の前で、再び岡本のまわりに虫が舞い始め、狂気じみた羨望の声が響く──「いいなぁ、くれよ!」。テクノロジー依存と現代の滑稽さを描く風刺的コント。