夕陽のあたる教室
夕陽のあたる教室 中島清志 作
〔キャスト〕♀1人 ♀ 鈴木美奈・・・高校3年生・アニメ部(らしい)・母子家庭(らしい)
やかましいセミの鳴き声。
真夏の太陽が差し込む誰もいない学校の教室。
後ろの黒板に大きな文字で「めざせ甲子園」と書いてあり、その他色とりどりの小さな文字や絵が描いてある。
しばらくしてから大きなバックパックを背負った鈴木美奈がドアから教室に入ってくるとタオルで顔を拭く。
「ふわあー。
こうりゃマジ蒸し風呂だね。
誰もいないしなー・・・
あーあ、制服なんかで来るんじゃなかったよ。
あ、だけどあたし制服しか着るもんねえんだよなー、実際。
もしかして、制服着ちゃいけないってことはねえよな?
一応こないだまで高校生だったんだし・・・
母さんなんか、『あんたしばらく制服で店に出なさいよ』なんて言い出すしなあ・・・
飲み屋にセーラー服かよ!
そりゃさすがにちょっとヤバイだろ。」
ぐちゃぐちゃに進路関係の本や教科書類や辞書などが突っ込まれている書棚の中からうちわを見つけてとると、体中あちこちをしきりにあおぐ。
うちわを置くと
「はあ、あっぢい・・・
疲れたあ!」
教室を見回して
「相変わらずきったねえなあ。」
教卓の上に積んであるプリントが何枚か落ちているのを拾う。
「夏補習の課題か・・・
やっぱ学校やめて正解だよ。
こんなくそ暑い教室で、勉強なんかできるわけねえだろ。
今時クーラーもないなんて、日本全国探しても学校くらいだって・・・
しかも赤点の人間集めてさ、授業になるわけがないじゃん。
意味わかんねえよなー。」
落ちていたプリント類を全部拾い集めて、教卓の上にまとめて置く。
「あー、何かイライラしてきた。
あたし、嫌いなんだよ、汚いのさあ・・・」
掃除道具入れの中からほうきを出してはき、チリトリでゴミ箱にゴミを集める。
「ゴミも捨ててねえじゃん・・・」
ゴミ箱の中の袋をまとめて持つ。
「(何かかけ声)・・・
えらい重たいなあ。
一体何入ってんだよ。」
ゴミ袋をいったん置くと、袋の口を開けてのぞこうとするが
「うわ何か嫌なにおい!」
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