あらすじ
1999年7月、世界はモールス信号とともに滅びた——と語る少年シンスケ。彼の前にお調子者の「最後の猫」と毒舌の「のんのん猫」が現れ、壊れた時計を巻き直し、空っぽの“理想の家族”を再生産し、海から流れ着く瓶のメッセージを読み解いていく。「勝てないかもしれない、でも負けない」「ペナルティー」。自己処罰や強迫観念に揺れる心を、二匹の猫は軽やかに茶化しながら、少年に“種をまく”ことを教える。梯子の根元に芽吹いた蔓、咲いた一輪の花。やがてノイズの向こうに“クジラの声”が聞こえたとき、世界の終わりは小さく更新され、彼は歩き出す。