あらすじ
砦のように積まれた紙の山――それはシュレッダーで粉にした新聞、つまり“手紙の末路”。
迎えを待つ者たちは、紙袋を積んでは崩し、風向きで砦の形を変え続ける。やがて明かされるのは、街にとって彼らが“欠陥”として隔離された存在であること。虫の襲来音、紙の雨、反復の群舞。捨てられた声=紙屑(ゴミ)が“海”となって生まれ直す瞬間に、舞台と客席の境界がほどける。
高校生が本気で挑んだ異形のミニマルSF。2トントラックで運び込んだ紙の海は、幕が上がった瞬間に「おおーっ」と会場をざわめかせた。いま思えば防塵マスク必須の舞台――それでも事故なくやり切った執念を、どうか目撃してほしい。