蒲公英
ノーラ   (女)

ヘルガ     (女)

クラウス    (男)

母親      (女)


     開幕  
     舞台の上手・下手を隔てるように壁がある
     上手の端にベンチがある
     ノーラ  上手からやってきて、壁の前で止まり
          ゆっくりと壁を見つめる
     クラウス 上手からやってくる

クラウス「…ノーラ」
ノーラ 「あっ ク、クラウス兄さん!」
クラウス「やっぱりここにいたのか…  
ほら、警備の人に何か言われる前に帰るよ」
ノーラ 「え?  まだ明るいよ?」
クラウス「すぐに暗くなるさ」
ノーラ 「お願い! もう少しだけいさせて!」
クラウス「ノーラ、またいつものを!?」
ノーラ 「お願い、クラウス兄さん! ね、この通り!」
クラウス「……はぁ  晩御飯、作るの手伝ってよね」
ノーラ 「ありがと!!」

      ノーラ 嬉しがる 落ち着くと、壁に向かう

ノーラ 「誰かー聞こえますかー!?」
クラウス「あんまり大きな声を出すなよ」
ノーラ 「大丈夫   誰かー聞こえたら返事してくださーい!」
クラウス「誰も返事なんかしてくれないと思うよ」
ノーラ 「ううん  だって2週間前『誰かいませんか〜?』
って私聞こえたもん」
クラウス「聞き間違えじゃないの?」
ノーラ 「そんなことないもん! 聞こえたの!」
クラウス「…もしかしたら、幽霊かもね」
ノーラ 「え!?  …ゆ、幽霊?」
クラウス「そう  第二次世界大戦中、ここで戦争があった時
爆撃を受けて死んでしまった人の霊かもしれないよ!」
ノーラ 「そ、そんなこと…」
クラウス「なーんて、ウソだよ!」
ノーラ 「へ?」
クラウス「ノーラは怖がりだなぁ」
ノーラ 「もう! ……ねぇ、クラウス兄さん
     本当に、このドイツで戦争なんかあったの?」
クラウス「僕も詳しくは知らないよ 昔、学校の授業で教わったぐらいさ
     あと……父さんから聞いたり、とか…」
ノーラ 「へぇ〜  あたしもお父さんに聞いてみようかな」
クラウス「や、やめときなよ!」
ノーラ 「え?」
クラウス「…また今度、僕が教えるからさ」
ノーラ 「ほんと!?  やった!」
クラウス「ほら、帰るよ」

       ヘルガ 下手からやってきて、壁の前で止まる

ノーラ 「ねぇ いつかこの壁の向こうに行けるかな?」
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