『天使の悪魔』
男…悩んでいる男。
悪魔…男の中の悪魔の部分。
天使…男の中の天使の部分。


暗転。
舞台中央。サス。男が椅子に座り頭を抱えている。

男「どうしよう…私はどうすればいいんだ…? 今まで生きてきた中でこんなに悩んだのは初めてだ。小さい頃から悩んでも直ぐに決断していたのに、オムライスかハンバーグか…ハンバーグ!! 野球部かサッカー部か…サッカー部!! マリコちゃんかエミリちゃんか…マリコちゃん!! …しかし、こればかりは決断出来ない。…私の目の前にある1000万円入ったスーツケース。普通ならば落とし主が困っているだろうし、交番に届けなければいけない。それが正しい行為だ! …しかし、私にはガンを患っている父と母がいる。この1000万円があれば、父と母に十分な治療を受けさせてやることが出来る。だがこれは人様のお金…どうすれば…!?」

下手から悪魔登場。
悪魔にサス。

悪「ヘッヘッヘ」
男「誰だ!?」
悪「俺様は悪魔だ!!」
男「……」
悪「…俺様は悪魔だ!!」
男「…聞こえてるよ?」
悪「ならリアクションしろよ!!」
男「いや、いきなり「悪魔だ!!」って言われても…」
悪「信じられないか…仕方ない。いきなり目の前に悪魔が現れても信じろって方が間違っている。しかし私はお前の中の悪魔だ!!」
男「あぁ、信じられないとかじゃなくて、自分の事を「悪魔だ!!」って。人間がいきなり「人間だ!!」とは言わないでしょ」
悪「…アックーマだ」
男「今考えたでしょ?」
悪「うるさいうるさい!! そんなことどうでもいいんだ!! …それより、その1000万円貰っちまえよ」
男「な…!?」
悪「今なら誰も見てねぇぜ?」
男「…ダメだ!! 人様のお金だ!! 落とし主が困る!!」
悪「落とした奴が悪いんだよ。どうせ気付かねぇって」
男「いやいやいや、さすがに1000万円は気付くだろ!!」
悪「…ってことは気付かれなかったら貰っちまうってことだな?」
男「う…」
悪「いいんだよ。それが普通さ」
男「しかし…」
悪「父ちゃんと母ちゃん助けたいんだろ? お前はいいことしようとしてんだぜ?」
男「……」
悪「ほら、早く取れよ。手を伸ばせば届くんだぜ?」
男「……」

男、舞台中央より下手側に手を伸ばそうとする。

天「そんなことをしてはダメ!!」

男、悪魔、上手を見る。
上手より天使登場。
天使にサス。

天「そんなことをしてはダメ!! あなたは悪くなりたいの? 違うでしょ? もっと自分の気持ちを大切にして! 悪魔の言葉なんて聞いちゃいけないわ!! さぁ! 悪魔の言う事なんて無視して、お父さんとお母さんを助けるのよ!!」
悪「…今しようとしてたよ!!」
天「え?」
悪「いいところでジャマしやがって!! お前は誰だ!!」
天「私は天使よ!!」
男「……」
悪「ぷぷー!! いきなり「天使よ!!」だって!! お前は、人間が「人間よ!!」なんて言うと思ってるのか!! 俺様は悪魔、アックーマだ!!」
男「……」
天「私は天使、名前なんて低俗なもの必要としないの。名前なんて必要とするのはか弱い人間がすること」
悪「…!?」
男「そうか」
悪「!? …いや、まぁそうだよ? そうだけどね? 名前なんて必要無いけどね? なんて言うか、アレだよほらアレ。ほら、あの…ニックネーム! そう! やっぱりあった方が呼びやすいじゃん? ニックネーム!」
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