夢茶☆苦茶

廻谷リリコ(女)

杉村テルミ(男)

マルトノ博士(男)

山葉ノゾミ(女)

河合トシヲ・カシヲ(男)



【現実・マルトノ研究所】

・・・机の上に辞書が置いてある。
・・・廻谷、出てきて辞書を読み始める。

廻谷「夢。将来実現させたいと思っている事柄。現実から離れた空想や考え。心の迷い。はかないこと、たよりにならないこと。睡眠中にあたかも、現実の経験であるかのように感じる、一連の観念や心像。…辞書にはこれしか載っていない。夢、夢ってなんだろう。なんかこう曖昧でよく分からない、何か。

・・・廻谷、辞書に挟まっていたメモを読む。

廻谷「"夢は現実の投影であり、現実は夢の投影である。フロイト”…?なんのこっちゃ、こんなのいつ挟まったんだろう。

・・・杉村、出てくる。

杉村「やっほー、リリコちゃん。
廻谷「杉村さん。今日もハイテンションですね。
杉村「ふふん。そりゃそうさ!宝くじが当たったんだもの。
廻谷「えっ、本当ですか!いくら?いくら?
杉村「三千円!
廻谷「…。
杉村「いや、ね。三千円当てるのだって大変なんだよ。すごい確率なんだよ。
廻谷「そうですか。
杉村「今度こそ、今度こそは一等三億円を…!いや、今は六億円のくじもあるんだっけ。いつの日か宝くじを当てて、キャバクラでキャストに囲まれて、ドンペリとか頼んじゃったりして!むふふふふふ。
廻谷「はいはい。じゃあ今度一緒に年末ジャンボでも買いにいきましょうねー。
杉村「なんだいなんだい、今日もテンション低いなぁ。何かあったのかい。あっ!もしかして失恋、失恋しちゃった?
廻谷「いや、失恋なんて──
杉村「あぁ!言わなくてもいいんだよ!僕には分かる、失恋ってのは辛い、辛いよ!だけどね、諦めちゃいけないんだよリリコちゃん!
廻谷「あの──
杉村「女の恋は上書き保存、男の恋はフォルダ別保存だなんて言うけどね、そんなことは無い!失恋と言うのは実に辛いものだよ、あぁ辛い!辛すぎてもう僕はどうにかなってしまいそうだよ!そうだ仕事が終わったら一緒にのみに行こう、失恋したときはグイッと飲んできれいさっぱり忘れてしまうのが一番だよリリコちゃん。今度ぐらいは僕が奢ってあげるからさ──
廻谷「杉村さん!
杉村「なに。あれ、本当に失恋だった?図星?ビンゴ?か弱い乙女のハートを僕は傷つけてしまったかい?
廻谷「違いますから!
杉村「いやいや否定しなくていいんだ、君はか弱い乙女だよ。
廻谷「否定したのはそこじゃないんですけど。失恋なんかじゃないって言いたいんです。
杉村「あれ、違うのかよなんだつまらないのー。じゃあ何でそんなにテンションだだ下がりなのさ。
廻谷「その、考え事をしていたんです。
杉村「考え事…?男、男だー!
廻谷「だから違うって言ってるじゃないですかァ!あン?
杉村「ひぃ。
廻谷「(落ち着き)夢について考えていたんです。
杉村「夢?何か変な夢でも見たのかい?
廻谷「そういうわけではなくて。夢に関する仕事をしているのに、夢とは何か。を理解していなかったらおかしいなぁ、と思って。
杉村「ふぅむ、まともだ。至極まともな意見だよリリコちゃん。で、その辞書で夢について調べていたって言うわけかい。
廻谷「えぇ。
杉村「甘いなぁ、マックスコーヒーよりも甘すぎる考えだよそれは。夢の意味を辞書だけで押し図ろうだなんて。
廻谷「じゃあ、杉村さんが教えてくださいよ。
杉村「…僕の口から語るには少々重すぎるんだなぁ。
廻谷「なーんだ、杉村さんも分からないんじゃないですか。
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