ハダカノココロ
○プロローグ

中央椅子。紗弥加が座っている。

明転。
上手で、義昭が客席に背を向けてキューブに座り、新聞を読んでいる。
上手で、由紀子が、紗弥加を見て立っている。

紗弥加「お父さん、お母さん!!」

紗弥加、とっさに耳をふさぐ。

由紀子「あんたは、私たち期待の娘だったのよ!なのに理系に行くとか!将来はどうするのよ!?」
義昭「……」

義昭、長山洋子”春はsara−sara”に合わせてダンス
義昭、由紀子、舞台中央を通り下手へハケる。
下手から智実が出てくる。

紗弥加「お姉ちゃん……」

紗弥加、耳から徐々に手を離す。

智実「私みたいに、エリート官僚にもなれない妹なんて、所詮ただのゴミムシだわ。生きてるだけムダ」

紗弥加、また耳をふさいで、うつむく。
智実、上手にハケる。

尚美、利恵(女子A)、千尋(女子B)、上手から出てくる。
尚美だけ前を向いて、利恵と千尋は後ろを向いて、上手前ツラに立つ。

紗弥加「学科のみんな……」

女子A「ねえ、こないだの符号理論、解けた?」
尚美「ああ、あんなの寝ててもできるやつじゃん」
女子B「すごいねー、尚美は。私は教科書とにらめっこして、ようやく解けたのに」
女子A「でも、コツさえ覚えれば、簡単だよね」
尚美「そうね」

三人、下手にハケる。
紗弥加、再び耳をふさぐ。

紗弥加「私は……、みんなみたいに、勉強できない……、みんなについていけない……」

下手から高橋が出てくる。

紗弥加「高橋先生……!」

紗弥加立つ、耳から手を離す。

高橋「外島さんなら、いつも一所懸命にやってるじゃない。大丈夫、それだけやっていれば」

高橋、上手へハケる。
紗弥加、その姿を追いかけながら、

紗弥加「大丈夫なんかじゃないです!! ……私なんて、私なんて……」

紗弥加、その場でがっくりと肩を落とす。
ゆっくり下手長椅子へ。

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