クリスマスのための童話劇 ヘンゼルとグレーテル
「ヘンゼルとグレーテル」
☆登場人物
ヘンゼル(兄)
しっかり者で少しお調子者。妹を守ろうとがんばる。アイデアマンで「小石」や「パンくず」で道をつける計画を考える。
グレーテル(妹)
心優しくて泣き虫。でも勇気をふりしぼって魔女をやっつける。歌声もすてきで観客の共感を呼ぶ存在。
木こり(父)
子どもたちを愛する、ちょっと頼りないけど心のやさしいお父さん。お母さんと漫才のようなやりとりもある。
まま母(母)
最初は意地悪で子どもたちを森に置き去りにしようとする。でも本当は弱さと不安からで、最後に和解して家族に戻る。
白い鳥
子どもたちをお菓子の家へ導いたり、川を渡してくれたりする、不思議でやさしい存在。歌で舞台を彩る。
魔女
お菓子の家に住む、ちょっと怖いけどどこかおかしみのある魔女。ヘンゼルを太らせて食べようとするが、グレーテルに逆転される。
語り手(1?3人)
物語の案内役。観客に合図を送ったり、合唱をリードしたりする。舞台を進める「橋渡し」役。
小鳥たち
パンくずを食べてしまういたずら好き。かわいく、ちょっと意地悪。子役や合唱メンバーでも演じられる。
運び屋たち/コーラス
お菓子の家を組み立てたり、歌に合わせて手拍子したりして舞台をにぎやかにするサポート役。
☆Ⅰ 黒い森
暗転。風の音と森のざわめきのSE。語り手が前へ出る。
語り手A ここは「黒い森」。昼間でも木のかげがくらくて、夜になると月の光もすきまから入ってこない。
語り手B その森のはしっこに、小さな木の家がありました。そこに住んでいるのは、木こりのお父さんとお母さん、そして子どもたち??ヘンゼルとグレーテル。
明かり。家の前。木こりが腰をおろし、ため息。
木こり ふぅ……。薪を切るより先に、ぼくの体がへとへとになっちゃうよ。
まま母登場、腰に手を当てて。
まま母 またため息?ため息でおなかがふくれるなら、私だって百回でもやるけどね。
木こり でも本当に、食べものが少ないんだ……。パンも、もうほとんど残ってない。
まま母 (観客に)そうなの、みなさん。お米も麦粉もなくて、食器棚をのぞいたら風が「ひゅー」って鳴ったのよ。
木こり 子どもたちにおなかいっぱい食べさせたいのに……。
まま母 (ぱっと顔をあげて)じゃあ考えよう!作戦会議!案その1。家族みんなでダイエット。案その2。森でおさんぽピクニック!。
木こり (苦笑)ダイエットはいやだし、ピクニックっていっても……おべんとうは?
家からヘンゼルとグレーテルが出てくる。
グレーテル お母さん、お弁当はあるの?
まま母 (小さなパンを見せて)これ!ハーフサイズよ。二人で仲よく食べれば“おなかいっぱい”って気分になるかも。
木こり (あきれて)気分だけじゃな……。
ヘンゼル (妹に小声)大丈夫。ぼくに考えがあるんだ。
グレーテル 考え?なに?
ヘンゼル (観客に目配せ)夜になったらわかるよ。光る道しるべがあれば、きっと帰れるから。
語り手が出てくる。ヘンゼルがこっそりポケットに小石を入れる。
語り手C ヘンゼルは、庭にころがっている白い小石をひろってポケットに入れました。月の光をあびると、小石はキラキラ光って、まるで星のかけらみたい。
森の中へ。SE:風の音、カラスの声。舞台を回りながら進む。
まま母 さあ、歩いて!止まったら、寒くてもっとおなかがすいちゃうわよ!
木こり (つぶやき)ほんとは……子どもたちにはただのおさんぽに見せたいんだが。
ヘンゼル (歩きながら、こっそり小石を落とす)……ポトン。……ポトン。
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