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山姥の壺

登場人物

プラム（梅子）女性。大学生。年寄りが嫌い。
杏子（きょうこ）　　　　女性。大学生。プラムの親友。ツッコミ役、がんばってください。
山本山（やまもとやま）　　女性。山姥（令和生まれ）。ふしぎな力を使う。
乙女（おとめ）女性。山姥ハンター。アルティメットな女性。
稚内（わっかない）　女性。老婆。乙女をつけねらう。
ミライ　　　　　　男女不定。稚内の孫。苦労性。やたらと「おばあちゃん！」というセリフが多い。

声だけの出番

天の声　　　　　　プロローグのナレーション。ミライと兼役想定。
小坊主　　　　　　大昔の小坊主。ミライと兼役想定。
電子音声　　　　　　一か所のみの登場。適当にしてください。

プロローグ

天の声　　平成が去り、令和になれど、平和は訪れず。世は乱れに乱れていた。老たるが迷惑を顧みずのさばり！
稚内　　　ひゃははは！　齢８０を超えてする無免許運転は最高だねえ！
天の声　　若きは現実より目を逸らす！
プラム　　いくわよ杏子ちゃん、お宝見つけて一攫千金よー！
杏子　　　そう上手くいくわけ......ま、楽しけりゃいいけどさ
乙女　　　(歩きスマホで二人とすれ違う)
天の声　　先のあるもの。先のないもの。杖をつき、カートを引き、スマホを睨み、誰もが前を見ていない。それはなぜか？政治のせい？　景気のせい？　いいや違う。全てはそう、山姥のせいなのである！

１

黄昏時。カラスの声、葉擦れの音。
どこかの山の中を二人の女子大生『プラム』と『杏子』がさまよっている。

杏子　　　プラムー。
プラム　　 (無視)
杏子　　　なあおい、プラム。
プラム　　 (無視)
杏子　　　梅子！
プラム　　もう、杏子ちゃん！　その名前で呼ばないでって言ってるでしょ！　
杏子　　　お前が無視するからだろ、梅子。
プラム　　プ、ラ、ム！　『梅子』なんて古臭くて嫌いだって知ってるのに嫌がらせする杏子ちゃんなんて嫌い！　嘘、大好き！
杏子　　　早い手のひら返しだな。
プラム　　だってカッコいいし、優しいし、一緒にいて凄く楽しいし。好き！　
杏子　　　まあ、プラムとこうやってバカするのは私も好きだよ。まさか、大学生にもなって宝探しで山にくるとは思ってなかったけど。
プラム　　そういう付き合いのいいとこも大好き。ずーっとこうして面白おかしく過ごしましょうね。
杏子　　　　いいや、帰るぞ。
プラム　　　どうして？
杏子　　　　どうもこうも、日も暮れてきたじゃないか。このまま山にいりゃ遭難一直線だ。沈む前にくだるぞ。
プラム　　いやよ！　まだお宝見つけてないもの。
杏子　　　こんな山に宝なんてないよ。　さ、帰ろう。
プラム　　いーや。この山には不老の秘宝が眠っているの。それを見つけるまで帰らないんだから。
杏子　　　宝なんてないって。
プラム　　あるの。この山にあるのは間違いないの。
杏子　　　ないよ。
プラム　　あーりーまーすー。ヤフーに聞いた情報をもとに私が調べたんだから間違いありませーん。
杏子　　　胡散臭さ全開。
プラム　　不老よ、不老。その宝さえあれば老いたるを寄せ付けず、消し去ることができるの。素敵でしょ？
杏子　　　素敵だな。
プラム　　でしょでしょ。だったら絶対に見つけないと。二人でいつまで面白おかしく暮らしましょ。――ピラミッドで！
杏子　　　古臭い欲望だな。
プラム　　　古臭いって言わないで！

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