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ジャンク・中古・さらっぴん

2人ver

ジャンク、中古、さらっぴん
　二人掛け合いver

登場人物
商人
お客

本編

ナレ　僕らが生きるこの時代のこと。僕らが生まれる前、人が命をもらう前、いつかは還る魂の世界。また今世を巡るその間、そんな間の物語。男は今日も、店を開けて、○○を売る

商人　よってらっしゃい見てらっしゃい。ここでの買い物に、余分な遠慮はいらねぇぜ？常識は一旦お預かり。うちは、新品、中古、ジャンク品、なんでもござれ。そうは言っても気は使うって？馬鹿をいっちゃあいけねぇよ。こんな猥雑な店に使う「気」なんてのは、どこを探したってねぇのさ。万引き、無賃、こいつだけはいけねぇが、変にかしこまるな。よく考えろ、俺はまともなもんなんか一つも取り扱っちゃいねぇんだからな。なぁ、そうだろう？

　　　（間）
　　　　舞台上に沢山の人間が並んでいる。
　　　　商人がお客に向かって話す

商人　おい、あんた、あんた

お客　俺か？

商人　そうだ。ここらじゃ見ねぇ顔だな

お客　最近こっちに帰ってきたんだ、七十年ぐらい向こうに居た

商人　おお、それはご愁傷様で、

お客　ああ、どうも

商人　七十年か、それじゃ、俺がまだ店開く前だな、

お客　なんだい、この店は？こいつが商品か？

　　　　お客、見せに並ぶ人を眺める

商人　なんだって、そりゃあお前さん、見て分からねぇのかい？人間だよ

お客　この魂の世界で人身売買か、ご苦労なこった、じゃあ／

商人　待て待て待て！人身売買、そう言ってくれるな。こいつらに魂は入ってない、いわば魂の抜けた、いわば、未完成品、欠品とでも言おうか、ひとまず人未満というもんだ。あんた、長い間こっちに居なかったって言ってたな

お客　そうだ

商人　あんた、次の人生に興味があるんだろ？話だけでもいい、聞いてけよ。興味があったら、その先に進めばいい

お客　分かったよ。聞けばいいんだろ？

商人　おっ、いいねぇ。話聞く気になってくれた？

お客　聞かなきゃ帰さない雰囲気だったろ？

商人　そんなことないですけどねぇ、ええ。そんじゃ話そうか。一通り話し終わるまでは、お口にチャック、手は膝に、耳は澄ませて、質問がある時は…そうだな、手を挙げてくれりゃ、それでいい

　　　　商人、高らかに語り出す

商人　最近、向こうの世界では、魂が抜けた人間が見つかる。ケースは色々だ。入った魂がなんらかの原因で壊れちまって、抜け殻になっちまったやつ、現代医療で体はまだ生きていけるのに、魂が諦めて帰っちまったやつ。そいつらはまだ生きているが、魂はない。リビングデッド、生ける屍。放っておけば、死ぬ。

商人　だが、やつらはまだ生きている。そこでだ、俺はそいつらを集めて、こっちで魂たちに売っているんだ。「入る体はいりませんか」ってな

お客　……

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