穏やかな一日
「穏やかな一日」
☆登場人物
以下はわさわさ出てきますが、7人ぐらいでやれるバージョンもご用意できます。希望する方はお申し出ください。
★三好一族
三好三郎 (55才)・・二流の元推理小説作家・認知症が進んでいる。未婚。気がかりなことを持っている。
宮本 薫 (35才)・・その恋人・元編集者・離婚歴あり・若目に見られる
新城 誠 (40才)・・薫の元夫・未練たらたら
新城 優子(13才)・・薫の子供・誠と生活しているがけっこうクール。三郎の小説の愛読者
三好 綾子(58才)・・見舞いにかこつけて、遺産をかすめ取ろうとする三郎の義姉。若作り。
★病院の人々
相良 俊介(31才)・・陽気なドクター・薫に気がある。コーラ大好き
青木るり子(20才)・・新米准看護婦(おっちょこちょい・・三郎に思い出させるきっかけを作る)
緑川 陽子(28才)・・先輩看護婦・美人だがちょっと冷たい。相良医師にホの字。臼井と斉藤に惚れられている。
比留間大蔵(50才)・・比留間病院の病院長。やり手だが、バブル期に不動産に手を出して、崩壊後借金を抱えて、経営悪化
蛭子 洋右(45才)・・出入りの業者から袖の下を取るしたたかな事務長。
★患者たち
橋本 亮 (18才)・・交通事故で骨折。暴走族上がり。
風間 響子(16才)・・白血病のヒロインと信じている少女。わがままのおじょーさま。
春田 良平(60才)・・糖尿病患者・老名主的存在
★出入りの人々
臼井 健太(26才)・・日之本医療機器販売社員・・緑川をめぐって、斉藤とさやあて。
斉藤 治 (27才)・・みどり製薬のプロパー・・同上。
森尾 銀 (25才)・・病院食カンパニーのぴちぴちの給食配達人
村上 慎二(22才)・・菊寿司の出前・しんちゃん
南 静香(25才)・・陽気な駆け出しの毎朝新聞文化部記者・賞の取材・綾部と顔見知り・酒豪。
永井 洋 (30才)・・同ごっついカメラマン。甘党。
★小説中の人々
藤城 三郎 ・・・・・・三郎の小説(と本人は思っている、薫の小説)「野獣暁に死す」の登場人物・ハードボイルド探偵
祭 朝美 ・・・・・・同、その相棒。
☆Ⅰ-1 暗転/ワープロ誤字の滝
【 キーボードを打つ音。カチャ…カチャ…カチャ…(不規則→少し早回し→ふっと止む)
pc等の画面(スクリーン)があればいいですね。「やしゅ…やじゅう…暁に…しす……#######/誤変換の雨」
ゆっくり明転。病室だが、観葉植物や布カバー、ランプで“居間”の趣き。ベッド脇に中古のノートPCと紙の束。スクリーンは誤字だらけ。
三郎 (声/柔らかく、遠くの人に話すように)犯人は、まだ笑っている。いや、笑っているのは私か。……薫、そこにいるか。原稿の角が、まっすぐじゃない。曲がった角は、真実に触れない。
小さく咳。ゆっくり身を起こす。
青木 (勢いよく入る・トレーを少し揺らす)おはようございま??あっ、失礼しま……し、ます! 検温と血圧でーす! あと、カーテン……あ、これオシャレ……(自分で感心)」
三郎 (穏やかに)お手伝いさん、コーヒー先にお願いできるかな。牛乳は、猫に。
青木 (凍る→小声)ね、猫……?(周囲を見る)ここ病院……(自分に“病院”と書くジェスチャ)
三郎 病院? 家にね、特別室を新設した。編集者がうるさいからね。静かな一日、という新作でね……静かに書くには……静かじゃない方が良い。
青木 (メモを探して慌てる)えっと三好さま、まず検温だけ……えいっ。(体温計をわきに挟む)あ、すみません。胸ポケットにペン三本……仕事できる感じ……(自己満)
三郎 君、名前は?
青木 (背筋を伸ばす)青木るり子、20歳、新米、三ヶ月目です。……あ、言っちゃった。新人らしく控えめにって言われてたのに。
三郎(目を細めて微笑)20歳の助手、良い。ハードボイルドには新人が似合う。まだ世界が“先に立っている”年頃だ。
ピピッ>体温計が鳴る。
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