忙しくないラーメン屋の法則
【登場人物】
 ・親方 
 ・弟子 
 ・客1
 ・客2

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 オープニング。
 明転。
 舞台は、ラーメン屋。客はほぼいない。
 親方、とても暇そうにしている。弟子、湯切りの練習を全力でしている。

弟子  (湯切りの練習を全力で)
親方  ……おい。
弟子  何ですか!親方!
親方  ……さっきから何してんの。
弟子  何言ってるんですか、親方!湯切りの練習ですよ!
親方  そうかいそうかい。

 弟子、さらに湯切りの練習を続ける。
 しかし、だんだん湯切りとはかけ離れていく。(ダイナミックな動き)

弟子  (ダイナミックに動いて湯切りとはかけ離れる)
親方  ちょっと、待て!!
弟子  (さらに動き続ける)
親方  おい!!!!!!!
弟子  何ですか、親方!!
親方  何ですか、じゃねえよ!!
弟子  じゃあ、話しかけないでください!!
親方  とりあえず聞くが、お前今何の練習をしている?
弟子  何言ってるんですか、親方!湯切りの練習に決まっているじゃないですか!!
親方  絶対に麺がこぼれているぞ、その動き。
弟子  えっ!?(急に止まって、親方をびっくりした目で見る)
親方  いや、「僕なにか間違っていましたか?」って顔で見ないでもらっていいかなぁ。
弟子  くそっ、俺の10年で磨き上げた「ザ・スペシャル・オブ・湯切りスペシャル」が、否定されるとは……。
親方  スペシャル、2回出てきちゃってるよ。
弟子  それほどでも。
親方  ほめてねぇよ。大体、さっき「10年で磨き上げた」とか言ってきたけど、お前、この店に入ってきてどれぐらい経つ?
弟子  2日と4時間っす。
親方  9年363日と20時間も、盛るんじゃねえよ。
弟子  あ、うるう年だったんで、正確には364日ですね。
親方  どっちでもいい!!
弟子  あと、「時間を盛るな」って、「ラーメンを盛る」とかけてるんですか!?
親方  かけてない!!
弟子  スープを……。
親方  かけてない!!!
弟子  そんなに怒らなくていいじゃないですか。僕だって頑張って働いているんですから。
親方  嘘つけ。何もしてないじゃないか、昨日から。
弟子  そんなことないですよ!いつでも親方に「麺を茹でろ!」って言われてもいいように、練習してますから!
親方  誰がお前にラーメンを作らせるか、あほ。
弟子  親方、今なんて言いました……?
親方  は?だから、誰がお前にラーメン作らせるか、って言ったんだよ。
弟子  その後です。
親方  ん?あほ、って言ったけど。
弟子  ばか、に変えてもらえませんか!!!
親方  何でだよ!
弟子  あほ、って言われるよりも、ばか、って言われたほうが、なんか、いいです!!
親方  訳が分からねえよ。
弟子  ほら、自分が好きで好きでしょうがない女の子に言われたと思ってください。
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