星の果てるところ
聖霊高校演劇部作
「星の果てるところ」

登場人物
○人間たち
・ひかり・・・15歳ほどの少女
・宙・・・ひかりの弟。10歳くらい。
・母親・・・ひかりと宙の母親。
・老婆・・・列車に最初から乗っている老婆。
○人間の精神
・博士・・・人間の合理的精神。
・詩人・・・人間の詩的思考。
○神話の時代の子供たち〜それぞれ様々な地域の月の神。
・イガルク
・テクシステカトル
・イシュチェル
・マナガルム
○プレアデスの姉妹たち
・エレクトラ
・アステロペ
・アルキオネ
○同行者
・妊婦・・・子供を宿した母親であり、爆発寸前のベテルギウス。
・車掌・・・銀河鉄道の車掌。死そのもの。










OP
音楽。背景は大黒幕。舞台中央ベンチでひかりと宙が背中合わせに座っている。ひかり、本を手に詠み始める。背後では車掌、少女たち、子供たち、詩人、博士、妊婦、老婆がSSの光の中にシルエットで立っている。

ひかり   「あ、あすこ石炭袋だよ。そらの孔だよ。」カムパネルラが少しそっちを避けるようにしながら天の川のひととこを指さしました。
宙    ジョバンニはそっちを見てまるでぎくっとしてしまいました。天の川の一とこに大きなまっくらな孔がどほんとあいているのです。その底がどれほど深いかその奥に何があるかいくら眼をこすってのぞいてもなんにも見えずただ眼がしんしんと痛むのでした。「僕もうあんな大きな暗の中だってこわくない。きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしに行く。どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行こう。」

宙ベンチを立ち、舞台奥へ向かい歩き行進する人々に交じり去っていく。

ひかり   「ああきっと行くよ。ああ、あすこの野原はなんてきれいだろう。みんな集ってるねえ。あすこがほんとうの天上なんだ。」 (1)

    ひかり、本を置く。人々の列から、車掌がランタンに光を灯して前に向かい歩いてくる。ひかりの手前側に立ち止まる。舞台上暗転。列車の走る音が次第に大きくなる。舞台上列車の車内に場転。霧笛の音。

1場 月
列車の走る音が一定になり明転。座席周辺部分はサスで明るく照らされ、それ以外は暗い。車両中央のボックス席にひかりと宙は向かい合わせで座る。ひかりたちのボックスの下手側隣は博士と詩人。向かい合わせで本を読んでいる。上手側隣は子供たちが座ってふざけ合っている。下手側座席には老婆がうずくまり、足元には大きなカバンが置かれている。

    明るくなり、宙はひかりを揺する。

宙    お姉ちゃん!お姉ちゃんってば!
ひかり   んん・・・え!?あなた、宙!?
宙    お姉ちゃん起きてよ。月が綺麗だよ。
ひかり   宙、何やってるの?
宙    何って、一緒に旅行してるところじゃんか。
ひかり   旅行!?(周りを見回して)え、私、なんでこんなとこにいるの?
宙    もう、しっかりしてよ。お姉ちゃんいつか一緒に旅行に行こうって約束しただろ。ほら、これ本物の銀河鉄道だよ。
ひかり   銀河鉄道!?
宙    うん。昔本で読んでくれたでしょ。銀河鉄道に乗って、本当の幸いを探しに行くって言う話。あの銀河鉄道だよ。
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