神様のジグソーパズル
○第一景ワタギの家

とある日曜日。
散らかり放題の主人公ワタギの家の居間、昼前。
セットはすべて板の書割とキューブ。
上手にテレビが置かれていて横に電話がある。舞台中央にちゃぶ台がある。明るい昼の日差しが部屋に差し込んでいる。
テレビから政治家の汚職、警官の犯罪、交通の乱れ、株価の下落などマイナスのニュースが立て続けに聞こえている。中央に新聞を広げて座るワタギ。
上手より、ぼさぼさ頭、ジャージ姿ビッグTシャツの片袖から首を出し首穴から手を出しているいかにも引きこもりの姿のサヤカが食パンをくわえて入ってくる。
サヤカ、立ったままテレビを見て。

サヤカ「まったくだめだなぁ、今の時代の奴らは。」
ワタギ「ダメなのはお前だろうが!(あきれる)」

ワタギの言葉に動じないサヤカ。

サヤカ「ぁ〜〜〜」

あくびをしてワタギのそばに座り、足を掻く。

ワタギ「いい加減に学校へ行ったらどうだ。高校から飛び級して大学生になったのに、最初の授業に出た切り全く登校してないじゃないか。」
サヤカ「あんな幼稚なところ行けるか!おやじ。」
ワタギ「だから、そのおやじ!ってのはやめろ。これでも大学教授だぞ。大体、入学して最初の授業で、教授のミスを指摘してそのまま帰ってくるやつがあるか。(若干娘に感心)」
サヤカ「十年も前の理論説明するのに一時間かける理由がわからん。そうやろ、おやじ」
ワタギ「だから、そのおやじってのやめろ。子供のころはお父さんって言ってたじゃないか。」

そこへ下手より母モモカが盆に豚まんを載せて入ってくる。

モモカ「まぁまぁ、サヤカは『銀河帝国興亡史』に出てくるハリ・セルダン、今ならホーキング博士みたいなものなんですから。」
ワタギ「確かにそうなんだが。それでもなぁ。」
モモカ「まぁ、これでも食べて。」

モモカはワタギとサヤカの前に豚まんを置く。

ワタギ「母さん、また豚まんか。昨日も、一昨日も豚まんだった気がするが。」
モモカ「失礼ね。昨日のは酢豚、その前のはとんかつ。そして今日のは豚の角煮・・・を作ったつもりよ。」
ワタギ「どれも豚まんにしか見えなかったが。」
モモカ「ちゃんとクックパッドでレシピ通りに作ってるんですけどね。出来上がるとなぜかみんな豚まんになってるのよ。不思議よね」
サヤカ「それは不思議とは言わない、失敗してると世間では言う。」
モモカ「まぁ、失礼な。ちゃんと、大匙いっぱいのなんとかと、調味料少々、何分煮込んで、ああしてこうして…ちゃんと手順通りしてるんだからね。でもねぇ、不思議。『宇宙家族ロビンソン』ならロビーが作ってくれるんでしょけどね。」
サヤカ「作りませんよ。R2=D2でも作りません。それだけやって、豚まんにしかならないほうが不思議だ・・・」
モモカ「R2=D2は手がないですからねぇ。」
ワタギ「いや、そういう問題じゃない。」

サヤカはめんどくさそうにまた足を掻く。

モモカ「あっ、しまった。スター・トリップ・スピン・オフ・ライブ・セブン、録画忘れた!」

モモカ慌てて下手に走り去る。
ワタギ、サヤカが唖然と見る。

ワタギ「あの母にして、この娘ありか・・・」

新聞を広げるワタギ、サヤカはちゃぶ台に肘をついてぼんやりとテレビを見ている。

サヤカ「こりゃダメだな。・・・仕方ない、私が何とかするか。」
ワタギ「何とかって・・」
サヤカ「世界を変えるしかない。(一人納得)」

いつの間にかモモカが下手より入り二人のそばにいる

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