ホンジツモ日々
『ホンジツモ日々』

登場人物
 美久(ミク)  適度に充実した生活。
 里子(リコ)  生粋のインスタグラマー。
 優佳(ユウカ) どこまでもオタク。



   [照]明転
   舞台は会社のラウンジか、食堂か、テラスか、そんな感じ。三人がお昼ご飯を食べている。

里子  「ごちそうさまでした。」

   里子、弁当箱(小さめ。サラダしか入ってない感じ。)を片付ける。

美久  「毎日言ってるけど、よくそれで足りるよね。」
里子  「毎日言ってるけど、ダイエット中なの。」
優佳  「毎日言ってるけど、もう十分でしょ。」
里子  「だから、休みの日に可愛いスイーツ食べるためには、普段の食事控えなきゃいけないんだって。」
美久  「意識高いんだか何なんだか。」
優佳  「里子ってほんとインスタに命かけてるよね。」
美久  「生活のすべてがインスタのためって感じ。」
里子  「普通にさ、可愛いものとか綺麗なものってそれだけでテンション上がるでしょ?私はその楽しさをみんなに共有したいの。」
優佳  「とか言って、自慢したいんでしょ。」
里子  「まあ、否定はできない。」
優佳  「ほら〜。」
美久  「でも、偉いよね、ちゃんと食べるの。」
里子  「え?食べるでしょ。」
美久  「ほら、写真だけ取って捨てちゃう人がいるとか、たまに問題になってるじゃん。」
里子  「ああ、なるほどね。わざわざお金出して食べないなんて、もったいないよね。」
優佳  「里子にもそういう感覚あるんだ。」
里子  「あるよ〜。」
美久  「おしゃれな人って永遠にお金湧いてるんじゃないかって感じの生活してるよね。」
優佳  「ね。その金私に分けろって。」
里子  「優佳も趣味にお金かけてるからね。」
優佳  「まあ、間接的に推しを養ってるみたいなもんですから。」
美久  「オタクの金の出どころもたいがい謎。」
優佳  「推しのためならご飯も服も我慢できる。」
里子  「オタク強すぎ。」
優佳  「推しの情報をいち早く手に入れるために通信費だけは削れないけどね。」
美久  「でも、趣味に惜しみなくお金使えるのってなんかいいよね。」
里子  「逆に、美久は何にお金使ってんの?」
美久  「え、貯金だよ貯金。」
里子  「マジ?全部?」
美久  「いや、友だちと遊びに行ったり、たまにちょっと贅沢したりはするけどね。」
優佳  「堅実だなぁ。見習いたい。」
里子  「あんたには無理。」
優佳  「おっ、分かってるぅ。」
美久  「ごちそうさま。」

   美久、コンビニ弁当のごみをビニール袋に入れる。

優佳  「あ、もう時間やばい?」
里子  「ううん。まだあと二十分くらいあるよ。」
優佳  「よかった。」
美久  「昼一で係長のとこに資料持って行かなきゃ。」
里子  「うわ、それは萎えるわ。」
美久  「午前中、木村さんが怒られてたでしょ。機嫌直ってるといいけど。」
里子  「美久は係長のお気に入りだから大丈夫よ。」
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