さようなら、ノストラダムス
作 かざの
     
        
 ��糸�岩査���
  ・なぎ   長女。大学四年生。今305号室に住んでいる。
  ・あおば  次女。高校二年生。今305号室に住んでいる。
  ・ほたる  三女。中学三年生。今305号室に住んでいる。
  ・ハギワラ 1999年、305号室に住んでいた。ツバメの会社の後輩。
  ・ツバメ  ハギワラの会社の先輩で、ハギワラの思い人。
 
 
  アパートの一室。部屋の奥には棚や姿見、布団など生活感の溢れる家具が並ぶ。洗濯物本や雑誌が散乱していて、整頓された様子はない。真ん中には食卓と座布団があり、なぎはキッチンで料理をしているが、あおばは寝転んでくつろいでいる。外からはセミの声が聞こえる。
 
 
 
  あおば  お姉ちゃん、今日のお昼なに?
  なぎ   ん、そうめん。
  あおば  えー、また?
  なぎ   何よ。
  あおば  昨日も一昨日も、先週の土日もそうめんだったじゃん。
  なぎ   はぁ? 文句あるなら自分で作りな。
  あおば  やだよ。
  なぎ   じゃあ文句言わないの。
  あおば  はいはい。お姉ちゃんのめんどくさがり。茹でるだけだからって。
  なぎ   ……あんた、今、茹でるだけって言った?
  あおば  ……う、ん。
  なぎ   茹でるだけって。あのさぁ、あおば、わかってる?
  あおば  え、なに?
  なぎ   この三十五とか六度とかのクソクソクッッソ暑い中、週末になるたびに台所立ってぐつぐつぐつぐつしてる熱湯を前にお姉ちゃん戦ってるわけよ。バイトとか卒論の合間に。あんたたちの空腹を満たすために。
  あおば  ちょっとちょっと。ごめんって。
  なぎ   感謝しなさいよ。
  あおば  ありがとう! わかった、わかったから……。
  なぎ   ......まあ別にいいんだけどさ。そんなこと言うくらいだったら自分で作るか、せめて何作ってほしいのかは教えてほしいわけ。
  あおば  あはは。たしかに。
  なぎ   たしかに、じゃないよ。ほたるもいっつもなんでもいいとか言うくせに、料理出したら出したで「これか~」みたいなリアクションだし。
  あおば  ほたる偏食だよなぁ。
  なぎ   そう。卵もだめ、緑色が濃い野菜もダメ、あと______
  ほたる  ただいまー。
 
  ほたる、部屋に入ってくる。
 
  なぎ   あ、帰ってきた。おかえり。
  あおば  おかえりー。
  ほたる  補習つかれたー。あれ、あおば今日部活は?
  あおば  休み。コーチが実家帰ってるから。
  ほたる  いいなぁ。あー、お腹すいた。
  なぎ   でしょ。ご飯できてるよ。
  ほたる  ありがと、なぎねぇ。
  あおば  たべよたべよ。
  なぎ   あんたも寝てるだけじゃなく皿運ぶの手伝いなさいよ。
  あおば  わかったよ。
  ほたる  ほたる手洗うね。
 
  なぎ、あおばが皿を並べる。ほたるも手を洗い終わり、麦茶などを出しながら席に着く。
 
  なぎ   おまたせしました。はい、そうめん(器をテーブルに置く)。
  ほたる  わあ、そうめんか~。そうめん(「これか~」の顔)。
  あおば  でた、この微妙な顔。
  なぎ   あんた今朝お昼ご飯なんでもいいって言って出ていったのお姉ちゃん忘れてないからね。
  ほたる  別に嫌とかじゃないし。でも同じビジュアル見続けてたら、飽きるっちゃ飽きるわけよ。
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