春をつれて
春をつれて

サナ
ミキ
ソウ

開幕

部室。舞台中央には班机にした机たちがある。
サナ、ミキはひとつのスマホを見て悩んでいる。
ソウ登場。
ソウ「おはよーございまーす!」
返事がない。
ソウ「おはようございます!!」
サナ「……おはよう。」
ミキ「……おはよ。」
ソウ「どうしたの、2人とも。顔が死んでるよ?花の女子高生なんだし、もっと明るくいようよ!」
サナ「それがむりなんだなー。」
ソウ「なんで?」
ミキ「これみたら分かるよ。」
ソウ「なになに?」
ソウ、スマホを覗き込む。
ソウ「えーーー!!?私の見間違いとかそういうのじゃないよね?」
ミキ「見間違いじゃないよ。」
ソウ「え、じゃあほんとのほんとにナナカ逃げたの?」
ミキ「そうだよ。」
サナ「あーー!もう!なんで1か月前にもなって役者が逃げるんだよ!」
ソウ「理由は?」
サナ「私は自分の夢のために生きる!だってさ。」
ソウ「その夢ってのは?」
サナ「お嫁さん。」
ソウ「そんなことごときで主役から逃げたの?」
ミキ「人の夢に対してそんなことごとき、なんて言っちゃダメだよ。」
サナ「いや、そんなことごときだろ。なんなんだよお嫁さんになるために主演逃げるってなに?」
ソウ「お嫁さんになるために役者やめてまでしないといけないことってなに?花嫁修業?」
サナ「一般常識身につけてからにしろっつーの!」
ミキ「まぁまぁ、ふたりとも。」
ソウ「だって最後だよ?」
サナ「そうだよ!夢のために生きるとしてもこの公演が終わってからでよくない?」
ソウ「それな。」
ミキ「たしかにそうだよね。せっかくソウちゃんが書いてくれた台本なのに……。」
サナ「それな!?ソウが丹精こめて書いた台本の主演から逃げるなんてなに考えてんの?」
ソウ「なんか照れるわ。」
サナ「てれんなよ。」
ミキ「てか、どうする?演者足りないよ?」
しばし悩む3人。
ソウ「私、ナナカがやる予定だった役やろうか?2人もう覚えはじめちゃってるでしょ?」
サナ「え!?いいの?」
ソウ「うん。」
ミキ「でも、それってソウちゃんのポリシーに反するんじゃないの?演者と脚本は両立したくないって言ってたじゃん。」
ソウ「たしかにそうなんだけど、最後だし今回のは特に頑張って書いた台本なんだ。ちゃんと上演したいって気持ちはあるから。」
サナ「ソウが納得してるんだったらいいけど。」
ミキ「うん、3人で頑張ろ?」
ソウ「うん!そうと決まれば発声練習だね!早く行こ!」
サナ「はいはい。」
3人退場。
暗転
サナトツ。
サナ「あたしたちが通う〇〇高校はド田舎にある小さな女子校だ。年々、若い年代が減っていって来年には隣町の共学と合併するらしい。あたしとソウとミキは小学校からの付き合いでナナカは中学からの付き合い。あたしたち演劇部には後輩がいなくてあたしたちが卒業したら廃部になるって言われた。でも、最後はちゃんとしたくて、そしたら今までの先輩たちもしてきた舞台でさせてもらえることになった。いつも奔放で目立ちたがりのナナカは今回も主演をするって聞かなかった、でもなんか逃げちゃった。最後、なのになぁ。」
暗転
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