アイドルになりたい!
登場人物
①美夜(みや)女子高生。アイドルを目指している。
②沙織(さおり)女子高生。美夜の親友。美夜の夢を応援しているが、実は自分もアイドルを目指している。
③美夜の父親 46歳。シングルファザー。下の名前はミノル。

舞台セット→ 美夜の家のリビング。ダイニングテーブルと椅子。テーブルにはマグカップ3つ。

美夜 沙織 2人の場面
照明は立っている2人だけに当てる形で、後ろのリビングのセットは見えないように暗くする。

美夜「じゃあ、沙織。今から本番を想定した通しのリハーサルをするからね。」
沙織「うん。準備はできているよ。」

美夜 指パッチン。
沙織は父親と自分の二役をやる。

沙織「(腕組みして、険しい顔)美夜。改まって話があるなんて、一体どうしたんだ?」
美夜「ーーお父さん。あたし、アイドルになりたいの!」
沙織「なっ…!?アアアア、アイドルだってえ!?」
美夜「実はもうオーディションの最終選考メンバーに残っていて。合格出来るかはまだ分からないけれど、もし受かったら、芸能事務所に所属してデビューするんだ。」
沙織「まったく何を言い出すかと思ったら…絶対にだめだ!そもそもこんなクソ田舎者が、芸能界なんて無理に決まってる!」
美夜「そんなのやってみないと分からないじゃない!」

ここから沙織の独壇場になる。
コミカルに1人2役を演じ分ける。

沙織「いいや、やってみなくても分かりきったことだ。諦めなさい。」
沙織「おじさん。美夜は本気なんです。今回のオーディション、全国から1万人以上が応募して、選考に残ったのは25名。これは彼女に光る才能があるということじゃないでしょうか。」
沙織「部外者の沙織ちゃんは黙っててくれ。」
沙織「いいえ、親友のために言わせてください。」
沙織「君に美夜の何が分かるんだね。わたしはこの子の父親だよ?」
沙織「あたしも親友として、彼女のいろんな姿を見てきました。美夜には、人前に出ることで煌めく素質があるんです。文化祭のときは体育館でダンスを踊って、1番盛り上げていました。
顔は可愛いし、スタイルだって抜群。このまま、田舎で埋もれてしまうのはもったいないと思うんです!」
沙織「ーーー沙織ちゃん…。君がそこまで言うなんて…。」

少しの間。
沙織 「どう??」という顔で美夜を見る。
美夜 拍手。

美夜「ーーはい、はっきりと見えました。うちらの完全勝利が。」

美夜 沙織の腕を掴み高く掲げる。

沙織「よっしゃあ!」
美夜「相手を刺激しないようにしつつも、感情に訴えかけているのが素晴らしすぎる。これは、お父さんも絶対に落ちる。」
沙織「良かったあ。じゃあ、本番もこんな感じで行くわ。」
美夜「マジでありがとう〜。沙織が一緒にいてくれて、めちゃくちゃ心強いよ。あたし1人じゃ絶対に説得できないから。」
沙織「こういうのは得意だから任せてよ。うまく行くといいね。」
美夜「うちさ、シングル家庭じゃん。お母さんがいたら色々と相談出来たし、沙織にも迷惑かけることもなかったのに、ごめんね。」
沙織「何言ってんの。全然迷惑じゃないし。」
美夜「それにね….。」
沙織「うん?」
美夜「最近、お父さん、いい感じの人が出来たみたいなんだ。あたしが早く家を出ていけば、2人が新しい生活をスタート出来るでしょ。娘に気を使わなくて済むし。」
沙織「え、そんな悲しいことを考えていたの?おじさんは美夜を邪魔だなんて絶対に思っていないよ?」
美夜「そうだね、それはそうなんだけどさ。でも、9歳の時に離婚してから男手一つで、頑張って育ててくれたんだもん。そろそろ幸せになってほしいんだ。」
沙織「美夜….。」
美夜「ああ、ダメダメ!こんなしんみりしちゃ。よーし、頑張ってアイドルになることを認めてもらうぞー!」
2人「おーーー!」

暗転
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