この世界から、あなたへ
ある演劇部と戦争のお話
「この世界から、あなたへ
  ある演劇部と戦争のお話」


登場人物
・チカネ 演劇部・メイク担当
・アユミ 演劇部・部長
・セツコ 演劇部・音響・脚本担当

・ヨウコ 兵士
・クニダ 物理学の博士
・マリコ お人形のような少女








   暗転中。
   スクリーンに配信動画が流れる。
   「チカリンのお肌ピカピカチャンネル」というタイトルで、チカネが目元に仮面をつけて素顔が分からないようにして美容に関する生配信をしている。
   コメント欄には「チカリン最高」「かわいい」「応援してます!」などの賞賛コメント。
   チカネ、テンションがあがり、「美しくあらずんば人にあらず!」と叫び、高笑いする。
   暗転。


   明かりがつく。
   演劇部の部室。
   チカネ、アユミ、セツコがいる。
   うなだれているチカネ。

アユミ「燃えたね。見事に燃え上がったね」
セツコ「(スマホを見て)まだ炎上してるよ」
アユミ「確かに平家物語を習い始めたところだったけど。何、興奮して平家な気持ちになっちゃった?」
セツコ「まさに驕れるものは久しからず」
アユミ「演劇部のメイク担当ちーちゃんの動画配信で弱小演劇部の部費を稼ぐ。いいアイディアだと思ったんだけどなあ」
セツコ「せっかく登録者数も増えていい感じだったのにね」
アユミ「編集は私たちがするって言ってたのになんで生配信するかな」
セツコ「調子に乗る性格を自分で分かってなかったか」
チカネ「どうせ私はお調子者ですよ」
アユミ「まあまあ。そんなに落ち込まないで」
チカネ「自意識過剰だし、思ってるほど可愛くないし、調子に乗った馬鹿ですよ」
アユミ「ネットの書き込みなんて真に受けちゃダメだよ。大体指先ひとつで書いた言葉なんかに価値なんてないんだから」
チカネ「じゃあどういう言葉に価値があるわけ?」
アユミ「それはほら、一文字一文字丁寧に筆でしたためた」
チカネ「昭和か!」

   裏山から工事の音。

チカネ「うるさいなあ!」
アユミ「こらこら。工事の音に文句言ってもしょうがないでしょ」
セツコ「そこの山から温泉が出たらしいよ」
チカネ「マジで?! じゃあ学校の裏山に温泉施設できるの? 生徒は入り放題!?」
アユミ「そんなわけないでしょ」
チカネ「でもさあ、裏山って入ったことないよね」
アユミ「ずっと昔に心中事件があったとかで幽霊が出るって噂だったから、みんな近づかないようにしていたしね」
チカネ「分かった!」
アユミ「何が?」
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