ラストクリスマスver.2
 「ラストクリスマス ver.2」 中島清志 作  


【登場人物】♂椎野冬樹(しいの・ふゆき)・・・高校3年生。演劇部員。

      ♀星崎未唯(ほしざき・みゆ)・・・高校3年生。演劇部員。

      ♀岬詩子 (みさき・しいこ)・・・高校2年生。演劇部員。

      ♀吉田葉月(よしだ・はづき)・・・高校1年生。演劇部員。


     クリスマスイブの夕方。
     辺りはもう暗い。
     通りを、詩子と葉月が歩いて来る。
     詩子は制服にコートを着ているが、葉月はサンタクロースの衣装を着ている。
     葉月は楽しそうに大声で歌っているが、詩子はあからさまに迷惑そう。
     2人は足を止めて話す。

葉月「まっかな、おーはーなーのー、となかいさーんーはー」

詩子「葉月ちゃん、私から離れてくれない?」

葉月「いつーもー、みーんーなーのー、わーらーいーもーのー」

詩子「でかい声で歌うなっつうの!」

葉月「えー?
   何でですか?」

詩子「恥ずいだろうが!」

葉月「私、恥ずかしいですか?」

詩子「ムチャクチャ恥ずいよ!
   周りの人、みんなクスクス笑ってるじゃん。
   正にみんなの笑いものだよ・・・
   って、おい!」

     葉月ニコニコ笑って手を振り愛嬌を振りまいている。

詩子「何やってんだよ。」

葉月「ほらあ。
   あの小学生の男の子が喜んで手を振ってます。」

詩子「よく見な。
   となりのお母さんがやめさせようとしてるじゃん。
   きっとさ、『大きくなってああいう人になっちゃダメよ。』とか言われてるんだから。」

葉月「そんなことないですよう。
   それにしいちゃん先輩、いつも、舞台では恥を捨てろって言ってるじゃないですか。」

詩子「ここは舞台じゃない!
   町の中だ。」

葉月「サンタの衣装を着ろって言ったのも、しいちゃん先輩ですよ。」

詩子「誰が家から着て来いって言ったの!
   しかもお前、その下に何も着てないだろ?」
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